ドロシー・アシュビー没後30年、アリス・コルトレーン没後10年の時を経、彼女達の衣鉢を継ぎつつもそのオリジナリティとアップデートされたセンスでもってそこに名を連ねるジャズ・ハープ奏者が現れた。NYをベースに活動するブランディー・ヤンガーの初作は華麗に舞うフルートやぶっとくウネるベースなどで真ん中レアグル的手触りを持ちつつもビートやヴォーカルに自身のハープすら程よく抑制が効いているのはコモンやグラスパー作品への参加経験や、グラスパー・エクスペリメントのケイシーによるプロデュースが大きく影響しているのだろう。その温故知新の折衷感がとにかくジャストで心地よい。