何度か延期を重ねるも、間にショーン・ポールやワーレイとの共演でバズを起こし、結果としてこのファースト・アルバムは最高のタイミングで登場する運びとなりました。コソボをルーツに持つロンドン在住の21歳。容姿からも溢れるエキゾティックな魅力を、スティールパンやアフリカン・パーカッションを用いた折衷的な電子ポップで引き立てているのですが、彼女に似合うのは太陽じゃなくて月の光。そのミステリアスな部分も、名匠エミール・ヘイニーやイアン・カークパトリックらがきっちり掬い上げています。ラナ・デル・レイと比較される自作のリリックは問題だらけの恋模様を綴ったものが多く、そこに中低音のヴォーカルを合わせることで自堕落なエロスが開花。とりわけミゲルと声を絡めた“Lost In Your Light”や、バルカン・エレクトロ調“New Rules”は真夏のアヴァンチュールを盛り上げてくれそう。危険と知りつつ、ハマらずにはいられません。