ドビュッシーやアルベニス、モンポウのピアノ音楽をチェンバロで聴けるというだけで大歓迎のアルバムだが(なぜかこの手のCDは本当に少ない)、その魅力はサウンド上の目新しさ、面白さにとどまらない。メインテーマである「ラテン/スペイン」にバロック、国民楽派、近代、あるいはギター、チェンバロ、ピアノ、はたまたドビュッシーというさまざまな要素を重ね合わせたことで、アルバム全体に複雑な味わいが生まれ、聴き手はそれらの意外な共通性に気づく。アルバムの冒頭に置かれスペインとの関わりが深いドビュッシーが、ギターとチェンバロを比較した言葉を残しているというのもなんとも面白い。