深く重く、常に緊張感に満ちた歌唱ながら意識を歌声から逸らすことが出来ない。恐くなるほどに鬼気迫る表現力をみせたかと思えば慈愛と温もりに満ち、時に若々しく軽やかに歌い上げもする。痛切な歌声や旋律から心掻きむしりたくなるような狂おしい美しさを感じさせもする。クララ・ペーヤなど続々と新たな才能を輩出するカタルーニャの、いまや代名詞と言っていいシルヴィア・ペレス・クルースの2017年作は、これまでの作品に収録された楽曲や個人的に親しんできた楽曲11曲を弦楽5重奏団と共に再構築。かつてピアフがパリや世界にもたらした感動をいまカタルーニャの人々は感じているのかもしれない。