ミント・コンディションのストークリーによる初ソロ作。曲展開やスティールパンの使用などグループ時代の美点を残すのは彼の個性がバンドの魅力になっていたことの証明でもあるわけだが、レディシがバックで歌う先行曲“Level”、胸焦がすようなバラッド“Organic”と、前半からミント印の必殺メロディーが飛び出し、今年で50歳となる男が少年のような青臭い声で伸びやかに歌い上げる姿にまずは安堵と興奮を覚えるだろう。制作を本人とアイヴァン&カーヴィンで分け合い、結果として往時のミュージック・ソウルチャイルドを想起させる場面もありながら、ロバート・グラスパーがピアノを弾いた“Art In Motion”、ワーレイを迎えたトラップ調のスロウ“Way Up”、オミーとのカリビアンなポップ・チューン“Wheels Up”など、多彩なアプローチで自身の歌世界に引き込んでみせる。ブリアマリーやテリー・エリスら新旧歌姫の助演もあるなか、エステルとの小粋なデュエットも披露。〈ヴェテランの新人〉による心意気を感じる快作だ。