カニエ・ウェストやチャンス・ザ・ラッパーをはじめとするゴスペルに接近した作品が脚光を浴びるなか、そのチャンス率いるソーシャル・エクスペリメントに客演し、ジェイZの賛辞も受けるシカゴの注目ゴスペル・ラッパーがデビュー。牧師の息子であり、バプティスト派の名を冠して活動する生粋のクリスチャンだが、ガラガラした声質や躍動するラップには優等生気質でなくエネルギッシュなヴァイブが充満。すべて自身がプロデュースした楽曲も、トラップな表題曲をはじめ現行シーンとのズレはなく、曲名通りにニューオーリンズ風味な“Second Line Ball”など豊かな音楽的素養を感じる曲も。なかでもチャーチピープルのコーラスを従えた先行ヒット“Raise Hell”や“What We Got”、ポジティヴな“Heaven”の3曲は、ゴスペルらしいドラマティックな昂揚を味わえる逸曲だ。ミシェル・ウィリアムズやブランディ、レイ・J、キキ・ワイアットら教会ルーツを持つシンガーたちもこの傑作に華を添えている。