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どのような取り組みを通じてヴァンプスは夜の作法を身に付けたのか?

JUSTIN BIEBER Purpose RBMG/Def Jam/ユニバーサル(2015)

トロピカル・ハウスを一般化させた本作収録の“Sorry”“What Do You Mean?”。2015年末にこの2曲をカヴァーした時点で、ヴァンプスの新たな方向性は決まっていたのかも。ゆるふわなビートに引っ張られすぎず、地声で力いっぱい歌うなど、トレンドを自己流で表現しているところにグループの底力を感じます。

 

MALUMA Pretty Boy Dirty Boy Sony Latin(2015)

アコギによって伝統的なラテン音楽の要素も散りばめた〈Night Edition〉収録のスムースなレゲトン“It's A Lie”が気に入ったら、このコロンビア人歌手をチェックしてみて! MVの再生数が6憶回を超える最新ヒット“Felices Los 4”がまさにそんな内容で、完成間近な次作に期待しつつ、まずは本作で肩慣らしを。

 

ONE DIRECTION Midnight Memories Syco/Columbia(2013)

2枚目のジンクスをあっさり破ってアーティスト性をアピールしはじめ、自作曲を大幅に増量+共同プロデュースも行いながら、音楽趣味の異なる各メンバーの個性を尊重して曲調も多彩になり……。ヴァンプスが見せた3作目での変化は1Dと重なって仕方ないのですが、どうか分裂だけはしないでね。

 

I Don't Like Mondays. SUMMER コロムビア(2017)

仲間とワイワイ楽しむ少年時代に終わりを告げ、大人のモテ男道を歩みはじめたヴァンプスは、今後〈UK版IDLMs〉みたいになりそう。南国ハウスをバンド形式に落とし込むテクはもちろん、フューチャー・ベース的な“Same To You”も本EPのKSUKEによる“TONIGHT”リミックスと近いノリですし。

 

RONAN KEATING Time Of My Life Decca(2016)

ヴァンプスの面々の作曲スキルが向上している様子は、ボーイゾーンのローナンによるこのソロ作へ提供したカントリー・タッチの“Shine Like Gold”でも確認可能。サビで一気に視界が開けていくようなスケール感のあるメロディー展開は、1年後に“Stay”や“My Place”という名曲誕生へ繋がっていきます。

 

DNCE DNCE Republic/ユニバーサル(2016)

ヴァンプスの新作中でも〈夜明けまで踊ろう〉と一際アグレッシヴに聴き手を煽るラップ交じりの“Shades On”は、トークボックスが何とも快楽的な80sスタイルのファンク・ポップ。生のアンサンブルだからこその肉体的なグルーヴは、シックやザップへのオマージュで溢れたDNCEに強く共鳴するものです。

 

ALL TIME LOW Last Young Renegade Fueled By Ramen/ワーナー(2017)

音楽趣味のバラバラなヴァンプスの4人が、共通して好きだと語る数少ないバンド。本作でも2曲をプロデュースしているジャック&コーク製“Paper Hearts”は、従来の無邪気な明るさを消し、メランコリックなムードを湛えてスタジアム級のダイナミズムを手にしたATL先輩の背中を追うような出来。

 

LOST FREQUENCIES Less Is More Armada/avex EDM(2016)

〈Night Edition〉の本編を締め括るのは、マーティン・ジェンセンらに叩き込まれたクラブ・ミュージックのイマっぽいメロウさを、デビュー作の主軸としていたアコースティック・ポップに転化した“Sad Song”。それはダンスフロアからフォーク/カントリーへ接近した本作と絶妙にクロスする結果に。