INTERVIEW

CHEMISTRY堂珍嘉邦の秘めたるインディー・ロック愛―〈HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER〉やコクトー・ツインズ、レモン・ツイッグスへの憧憬を語る

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  • 2017.08.02

CHEMISTRYの新曲はフレーミング・リップスを意識しています

――HOSTESS主催のイヴェントにも行かれたことはありますか?

「一度だけ、セイント・ヴィンセントが出演した回に観に行きました。ファイストやリトル・ドラゴンのような女性ヴォーカルが以前から好きで、その流れで彼女のことを知ったんですよ。その日のライヴは少数精鋭なバンド編成で、確か日本人のサポート・メンバー(トーコ・ヤスダ)が参加していましたよね? 彼女はギターも鍵盤もやっていて、すごく重要な役割を担っていたのを覚えています。アニー・クラーク(セイント・ヴィンセントの本名)はカッコよくて可愛くて、しかもIQ高い感じがあっていいな、羨ましいなと」

※2015年2月22日に開催された〈HOSTESS CLUB WEEKENDER〉

セイント・ヴィンセントの2015年の〈HOSTESS CLUB WEEKENDER〉でのライヴ映像
 

――ハハハ(笑)。知的でエキセントリックというイメージですよね。

「女性アーティストのほうが、自分のやりたいスタイルに近いことが多くて。男性ヴォーカルでも〈行くぜオラー!〉っていう(笑)、生き様を汗臭く歌う感じよりは、シガレッツ・アフター・セックスのような中性的でハイトーン・ヴォイスなバンドのほうが共感できる。サウンドもゆったりとしたアンビエント系か、逆にディスコ・パンクっぽいトラックが好きで」

――セイント・ヴィンセントとシガレッツ・アフター・セックスは2組とも今回の〈HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER〉に出演しますが、堂珍さん的には今回のラインナップを見られてどうですか?

「やっぱりセイント・ヴィンセントとシガレッツ・アフター・セックスが特に気になりますね。シガレッツはどんなステージになるんだろう」

――5月に原宿Astro Hallで開催されたショーケースでは、古い映画などをコラージュしたものをバックスクリーンに流していて、まるで夢の続きのような世界観を構築していました。演奏も、音源の再現力がものすごく高くて、アルバムの世界そのままという感じでしたね。

「へえ! 深淵なアンビエントというか。ちょっとシガー・ロスとかにも通じるものがあると思うんですよね。それよりもメロディーはキャッチーですが」

シガレッツ・アフター・セックスの2017年のライヴ映像
 

――ヴォーカルのグレッグ・ゴンザレスにインタビューしたときに言っていたのですが、メロディーには50〜60年代のガールズ・ポップやフレンチ・ポップからの影響がありますよね。そうした参照点がキャッチーさに繋がっているのかもしれない。あと、堂珍さんはシガレッツ・アフター・セックスがルーツのひとつに挙げているコクトー・ツインズもお好きなんですよね?

「好きですね。ライヴで“Cherry-Coloured Funk”をカヴァーしたこともあって。キーは落とさず、1オクターヴ下げて歌いました。デペッシュ・モードの“Enjoy The Silence”をカヴァーしたときもそうですけど、僕のファンが知らないような洋楽をカヴァーするときには、いつも歌詞を6割くらい日本語に訳して歌うようにしているんです。よく、コンビニとかで忌野清志郎さんの“デイドリーム・ビリーヴァー”が流れていて、あれってモンキーズのカヴァーですけど、そんなことを知らない人たちにも馴染みの曲になっているじゃないですか。それってすごくいいな、そんなことが自分もできたらいいなと思っているんですよね」

コクトー・ツインズの90年作『Heaven Or Las Vegas』収録曲“Cherry-Coloured Funk”
 

――モグワイやライドなどその他の出演者についてはどうですか?

「モグワイはよく一緒にフェスなどへ行っている音楽仲間にファンが多くて、彼らと一緒に聴いているうちに好きになったバンドです。ライドに関しては、実はラジオで流れているのを耳にしたくらいで、まだちゃんと聴けていないんですよ」

――ヴォーカルのマーク・ガードナーはいまフランスに住んでいて、コクトー・ツインズのロビン・ガスリーとコラボもやっています。ライドにもコクトー・ツインズの遺伝子は確実に流れているので、ぜひ聴いてみてください。ところで、フェスやライヴに行った時の、堂珍さんの楽しみ方は? 

「結構、スポーツ観戦しているときと一緒で、みんなでワイワイ楽しむというよりは、1人で黙ってじっと観ているタイプですね。もちろん楽しんでいるんですけど、心のなかで盛り上がっている感じ。あんまりはしゃいでいると、バレたときに面倒だし(笑)」

――フフフ(笑)。では、もし堂珍さんがフェスをキュレーションするとしたら、どんなラインナップにしますか?

「そうだなあ……。たぶん、すごくテーマを明確にすると思います。ホイットニーみたいな哀愁系のものを集めたステージと、それこそセイント・ヴィンセントみたいな知的でちょっとエキセントリックな女性アーティストを集めたステージ、あとはホセ・ゴンザレスのようなアンビエント系のアーティストを集めたステージを作りたいですね」

ホイットニーの2016年作『Light Upon The Lake』収録曲“Golden Days”のライヴ映像。彼らは今年の〈サマソニ〉本編に出演
 

――それにしても堂珍さんの活動や発言を通じて、海外インディー・ロックの魅力に触れたリスナーもきっと多いのでしょうね

「洋楽を敬遠している人たちって、きっと歌詞の意味がわからないっていうのも理由のひとつだと思うんですけど、わからなくてもサウンドの世界観とか、声の質感とか、そういうものを感じることで、音楽の楽しさを味わうことはできると思うんです。決して至れり尽くせりの音楽じゃないし、聴き手の想像力に委ねられている部分も多いから、自分で楽しみを見つけていく好奇心も大切なんじゃないかなと思います」

――最後に、堂珍さんの近況を聞かせてもらえますか?

「実は、今年の初めに父親が他界して。ちょうどグラミー賞へ行っていたときに、危篤だという電話がかかってきたんですよ。しかもアデルが“Hello”を歌って、いちばん盛り上がっているときに……。慌てて帰国して、延命措置をしてもらったんですけど、結局亡くなってしまって。先日、六本木のEX THEATREでソロでの集大成的なライヴ〈YOSHIKUNI DOHCHIN LIVE 2017〜BIRDY〉を行ったんですけど、そこで“Hello”をカヴァーしたのは、そんな経緯があったからなんです。そのあとCHEMISTRYの活動を再開させたので、今年の前半は別れや再会などいろんなことがありましたね。7月からは、東京シアタークリエで上演されているミュージカル『RENT』に出演しています。LGBTがテーマの作品で、僕が演じているのはロジャーという昔成功しかけたロック・ミュージシャンの役。90年代が舞台の物語で、ドラッグやAIDSなどさまざまな問題を取り扱っています」

アデルがグラミー賞で“Hello”を披露したパフォーマンス映像
 

――新生CHEMISTRYに堂珍さんがソロ活動で獲得した音楽性がフィードバックされることもありそうですか?

「2月に公開した新曲“ユメノツヅキ”のストリングス・ラインは、90年代のパルプやフレーミング・リップスを意識したというか、そういう方向に寄せたいとリクエストはしましたね。もちろんプロデューサーさんに最終的なジャッジはお任せしているんですけど。ソロ活動を経てCHEMISTRYに戻ったときに思ったのは、やっぱりソロをやったことは間違いじゃなかったんだなということ。CHEMISTRYの中にいただけでは見えなかったこと、気づかなかったことがたくさんあったんです。もちろん、今後もソロは続けていくし、CHEMISTRYの活動でもその経験がフィードバックされたらいいなと思っていますね」

“ユメノツヅキ”は松尾潔がプロデュース

CHEMISTRYの2017年の楽曲“ユメノツヅキ”

 

HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER(SUMMER SONIC 2017)
日時:2017年8月19日(土)
会場:千葉・幕張メッセ
出演:セイント・ヴィンセント/モグワイ/ホラーズ/ライド/ビーク>/シガレッツ・アフター・セックス/ブランク・マス/マシュー・ハーバート(DJ)
開場/開演:22:30/23:30
料金:一般/9,500円、サマソニ・ソニックマニアチケット購入者限定割引チケット:5,000円
※SUMMER SONIC東京各券種またはSONICMANIAのいずれかを購入されている場合は特別価格にてご購入いただけます。
※予定枚数に達し次第特別価格での販売は終了いたします。
※SUMMER SONIC各種入場券、SONICMANIAの入場券ではHOSTESS CLUB ALL-NIGHTERへはご入場頂けません。
※一般先行・一般発売での購入後の差額の払い戻しは致しません。
※SUMMER SONIC・SONICMANIAの入場券を購入せずに特別価格のチケットを購入された場合は、当日一般価格との差額をお支払いいただきます。
★詳細はこちら 

 

■CHEMISTRY
〈CHEMISTRY LIVE TOUR 2017-18(仮)〉
2017年12月4日(月)神奈川・川崎市スポーツ・文化総合センター
2017年12月5日(火)東京・中野サンプラザホール
2017年12月17日(日)静岡・裾野市民文化センター
2018年1月7日(日)埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
2018年1月8日(月・祝)愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
2018年1月13日(土)福岡・福岡国際会議場 メインホール
2018年1月15日(月)京都・ロームシアター京都 メインホール
2018年1月16日(火)滋賀・滋賀県立文化産業交流会館
2018年1月27日(土)宮城・仙台銀行ホールイズミティ21(大ホール)
2018年2月2日(金) 福島・郡山市民文化センター 大ホール
2018年2月4日(日) 千葉・君津市民文化ホール 大ホール
2018年2月24日(土)島根・島根県芸術文化センター「グラントワ」 大ホール
2018年2月25日(日) 広島・JMSアステールプラザ 大ホール
2018年3月3日(土)兵庫・たつの市総合文化会館 赤とんぼ文化ホール 大ホール
2018年3月4日(日)大阪・オリックス劇場
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