映画は遂にここまで来たのか! 3Dの映像表現は、『アバター』以降の奥行き表現の流れを文字通り宇宙空間に吹き飛ばした。どこまで行っても宇宙の闇! この体感アトラクションに要請されたのは、91分という上映時間とシンプルな物語である。同時にシンプルな物語や映像が二重三重の意味を持ち始めるところに、キュアロン監督の知性を見る。宇宙船とヒロインのイメージはそのまま母体と胎児のイメージへと重ねられ、地上への帰還の物語は文字通りもう一度生まれることと重ね合わされる。最新技術の勝利の果てにあるものが、サンドラ・ブロックという女優の勝利であることが実に感慨深い。