15年ぶりの通算5作目。遺族側との関係もあってレフト・アイのラップは入っていないのは無念ながら、クラウドファンディングを後ろ盾に自主制作したこともあって、妙なモダン志向や懐メロ路線を強いられることもなく、T・ボズとチリがマイペースに自分たちの持ち味をシンプルに表現したという印象だ。彼女たちを聴いて育った理解度の高いクリエイター陣が、変わらぬメッセージと歌唱をバックアップ。過去の音源において〈第4の声〉を担ったデブラ・キリングスが多くの曲でコーラスに入り、レスリー・ブラスウェイトがエンジニアを務めるなど、DARPの血もしっかり注入されている。90年代リヴァイヴァルの風潮を横目にしつつ、リアルタイム世代のイメージにも応えた、ある種の理想的なラスト・アルバムだ。