アルバムごとにグループとしてもベース奏者としても密度を増してきた安ヵ川、今回は演奏のバラエティで聴くものをワクワクさせてくれる。ドライブのかかったオープニングからアルコで奏で、ベースの本来の楽しさを伝える〈2〉、ロマンティックな楽想の〈7〉、マダムキラー曲で心を揺さぶる〈9〉、仲間たちと聴けば、クラップハンズが体の底から楽しくさせてくれる〈11〉と、このフォーマットで出来る様々なパターンを奏でる。重量感のあるベースに対してピアノの清々しい透明感とドラムの切れのよさは、夏の清涼飲料水のスカッと感をプラスし、バランスのとれた音空間を創り出した。ピアノトリオ好きには美味しい音だ。