US西海岸の様子をヴィヴィッドに伝えるリリシストとしても評価の高いヴィンス・ステイプルズの新作は、リード・シングル“BagBak”にも表れているように、ヒップホップの枠に収まりきらぬ前進的な仕上がり。これまで共演してきたフルームやゴリラズのデーモン・アルバーンらも召喚し、より彼のライム・スキルもより多元的に浮かび上がる。UKの新鋭レーベル、PCミュージックのソフィーやマッド・ディセント出身のGTAらを招いて実験的なサウンドをフィーチャーしつつもケンドリック・ラマー、タイ・ダラー・サイン、ジューシーJといったスター・ラッパーたちも多くフィーチャーしており、ヴィンスならではのハードコアかつインダストリアルな魅力も。既存の作品から大きな進化を遂げた好作だ。