振り返れば37年のキャリアで同じ顔をした作品を残していないロック詩人。だが、グルーヴィーなロック特集となった2年ぶりの新作では、90年代の傑作群を思い起こさせる旋律やビートが眩い輝きを放っていて、甘酸っぱい気分が止まらなくなる。サイケやニュー・ソウルの風味を散りばめつつ、新鮮な音模様を描かんと躍動する元春が熱い。THE COYOTE BANDとの対話と連携もより深まりを見せ、肉体的な演奏を聴かせる。