NYで結成された女性4人組、フロール・デ・トロアチェ。その名前をダン・オーバック率いるアークス作品で見かけた人も多いだろうし、チカーノ・バットマン最新作での妖艶なコーラスが気に入り、アルバムの登場を待っていた人も少なくないだろう。そんな彼女たちの本邦初登場となるこの2作目は、トラディショナルなマリアッチ・スタイルをベースに、カントリー、アフロ・キューバン、ヒップホップなど雑多な要素を呑み込みつつ、遊び心やモダナイズの試みを実践した音作りが展開されている。やはり最大の武器はヴォーカル・アンサンブルで、可憐でいて哀愁味もあり、力強さと知性を兼ね備えたハーモニーが奥行きたっぷりの豊かな響きを持っていて麗しいことこのうえない。ペドロ・マルティネスのクールなリズムが絡みつく“Las Caras Lindas”などアーバンな香り漂う曲も魅力的だし、アカペラ・コーラスにも心和み、これはもう掛け値なしに素晴らしい。