淡い光を放つシンセ、軽やかなスナップ&4つ打ちに導かれる先行曲“When I”――今までにない柔和な音作りにも驚いたが、エモに軸足を置きつつもそうした音像に美しく溶け込む、より叙情的に進化した歌心に強く惹かれた。前回同様クリス・クラメット(イシューズ他)のプロデュースによる新作は、ポエトリー交りの“WABI”に始まり、轟音の彼方で激情を迸らせる“SABI”で終わるというコンセプチュアルな構成。鍵盤を効かせた“Again”、SawanoHiroyuki[nZk]作品で知られる女性シンガーのTielleとYoshが甘く声を合わせる“Listening”、インディーR&B的なアプローチの“[]”など、繊細なコーラスワーク/歌を通じて人生の機微を伝えるミディアム群が凄まじく良い。メタリックな意匠の“Network System”やKenta Koie(Crossfaith)を招いた“Lost in Time”、パワー・ポップ然とした“Conscious”と疾走感を湛えた楽曲にも特有のしなやかさがあり、ラウド界隈を超えて広いリスナー層にリーチしてほしい一枚だ。