自身もピアノとチェロを奏で、室内楽を中心に精力的な創作活動をする次世代の作曲家、川上統。現代音楽の作曲のフィールドで活躍する彼だが、今回リリースされた初のソロアルバムはそれとは異なる作品。ピアノとチェロの即興演奏の録音を編集し重ねて(彼の言葉を借りるなら結晶化させて)いく手法で構成された珠玉の5曲。透明感あふれるピアノの響きが広がっていくかと思えば、かき鳴らされたチェロが突き刺さってくる。これはコンテンポラリーなのかポストクラシカルなのか、否、そんなものは関係ないと言わんばかりの美しさと力強さを持った音楽なのである。