前作はニンジャ・チューンからリリースしていたUKのプロデューサー、トドラTのニュー・アルバムは自身の新設したレーベルから。UKガラージ~グライムやダンスホール・レゲエに根差したエレクトロ・ベースを多様な要素を組み合わせた特徴的なサウンドの楽曲が用意され、重すぎず軽薄でもない丁度良い塩梅で盛り上げる、彼らしいダンス・ミュージックに仕上がっている。もっとも沸点が高い一曲となった“Tribute”に登場するグライムの重鎮ワイリー、弛緩したダブ・チューンに参加したアディス・パブロ(オーガスタス・パブロの息子)、ラテン・ハウス“Magnet”を共同プロデュースして印象的なピアノを聴かせるチリー・ゴンザレスなど、ゲストの多彩さとその好演も聴きどころ。なお、全面的にフィーチャーされているアンドレア・マーティンは、90年代からソングライターとして活躍し、自身のアルバムもリリースしているR&Bファンには知られた存在。少しハスキーな声質を活かす歌いっぷりで貢献している。