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根底にあるDIY魂で常に新しい価値観を提示してきた信頼のレーベル、KAKUBARHYTHMの歴史を3号連続でプレイバック!

【特集:KAKUBARHYTHM15周年(第1回)】Pt.1

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  • 2017.08.28
根底にあるDIY魂で常に新しい価値観を提示してきた信頼のレーベル、KAKUBARHYTHMの歴史を3号連続でプレイバック!

KAKUBARHYTHM15周年(第1回)
[ 特集 ]人懐っこさの底にあるDIY精神で新しい価値観を提示し、さりげなく日本の音楽シーンの流れを変えてきた信頼のレーベル。その歴史を3号連続で振り返ります!!

 KAKUBARHYTHMの初リリース作品となるYOUR SONG IS GOOD(以下YSIG)の7インチ・シングル『BIG STOMACH, BIG MOUTH/LOVE GENERATION』が世に出たのは2002年3月のこと。以降、15年に渡ってこのレーベルは数々の傑作を送り出し続けてきた。SAKEROCK、MU-STARS、イルリメ、キセル、二階堂和美、(((さらうんど)))などなどジャンルは多種多様だが、その一方で、所属アーティストには〈KAKUBARHYTHMっぽさ〉とも表現できそうな共通した匂いがある。そうしたレーベルの在り方や所属アーティスト同士のユルい繋がりは、後進レーベルにとってめざすべき目標ともなってきた。

 KAKUBARHYTHMの代表である角張渉は、同レーベルの立ち上げ以前から安孫子真哉(元・銀杏BOYZ)とSTIFFEEN RECORDSを運営。FRUITY(YSIGのJxJxが参加していた伝説のスカ・パンク・バンド)が自主レーベルから出したテープ・コンピ『MEDIUM RARE COMP』をお手本としてレーベル運営を始め、コンピ『SMALL CIRCLE OF ROCK』などをリリースしていた。

 2001年3月、そんな角張がYSIGをトリとしたイヴェントを企画する。その名も〈KAKUBARHYTHM〉。翌年3月にはその名を冠した新レーベルを設立し、第1弾として冒頭のYSIGの7インチをリリースする。

 なお、レーベル設立当初の角張は某レコード店の店員でもあった。STIFFEEN RECORDS時代には東京・西荻窪のライヴハウス、WATTSでバイトしていた経験もあり、そうした経験のなかで培われた角張の現場感覚と持ち前のセンスはそのままKAKUBARHYTHMの最大の武器となっていく。

 ブレイクビーツ・ユニットのMU-STARSや元FRUITYのツカモトコウタ率いるSUGARHILL DOWNTOWN ORCHESTRA、BREAKfASTと日本脳炎のスプリットなどを発表するなか、レーベルにとって転機のひとつとなったのが2005年から始まったSAKEROCKのリリースだ。絶妙なエキゾ感とユーモアを伴ったその音楽世界はKAKUBARHYTHMにとっても新境地を切り拓くものとなり、のちのceroやVIDEOTAPEMUSICの登場も用意することに。

 先述したように、KAKUBARHYTHMの作品群にはひとつのジャンルに括ることのできない多様性があり、そのうえでどこかに〈KAKUBARHYTHMっぽさ〉もあるのが特徴だ。その特徴を言葉にするならば、所属アーティストの多くがかなりマニアックなリスナー気質の持ち主であり、遊び心とユーモアを併せ持っているということだろう。それでいて、KAKUBARHYTHMの作品群には時代の空気感もふわりと盛り込まれている。友人の部屋で好きなレコードを持ち寄ってワイワイやっているような楽しさがありながらも、世界各地で起こっている現実にも敏感。そんな感覚がどの作品にも宿っているのだ。

 パッケージ・ビジネスの不況が次第に囁かれるようになった2000年代の中盤以降、KAKUBARHYTHMの存在感はさらに増していく。根底にあるのは、角張が90年代後半のライヴハウスで学んだインディー・パンク・シーンのDIY魂であり、過去の文化をリサイクルして新しい価値観を提示するヒップホップ・カルチャーだ。近年ではスカートや思い出野郎Aチームも加わり、かつてはYSIGしかいなかった所属アーティストもずいぶんと増えた。それでもなお、レーベルの軸がブレることはない。のらりくらり続けているようでいて、根っこにあるのはDIY精神の塊。そんなKAKUBARHYTHMの歩みが止まることはしばらくなさそうだ。 *大石 始

KAKUBARHYTHMからのリイシュー作品を一部紹介。

 

この8月にKAKUBARHYTHMへマネジメント業務を移籍した在日ファンクの2016年作『レインボー』(コロムビア)

 


〈カクバリズム 15 Years Anniversary Special〉開催!!

 KAKUBARHYTHMの設立15周年を記念して、5都市においてライヴ・イヴェント〈カクバリズム 15 Years Anniversary Special〉の開催が決定! 8月に入ってマネジメント業務の移籍を発表した在日ファンクはもちろん、二階堂和美 with Gentle Forest Sextet、スチャダラパー、YOUR SONG IS GOOD、cero、キセル、VIDEOTAPEMUSIC、スカート、MU-STARS、片想い、思い出野郎Aチーム、toeなど、レーベル所属のアーティストに留まらず、多彩なアクトが続々と登場。9月16日(土)~9月18日(月・祝)の京都・磔磔、9月23日(土・祝)の北海道・Zepp Sapporo、10月9日(月・祝)の広島CLUB QUATTRO、10月22日(日)の大阪・なんばHatch、11月5日(日)の東京・新木場STUDIO COASTと、チケットは各プレイガイド他で取り扱い中です。公演ごとに出演者が異なるので、詳細は特設サイト〈http://kakubarhythm.com/special/15th/〉でぜひチェックを!

 

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