オリジナル・アルバムで振り返るKAKUBARHYTHMの15年(その1)

YOUR SONG IS GOOD COME ON KAKUBARHYTHM(2002)

KAKUBARHYTHMの長男とも言えるインスト・バンド。本作はアーチー・ベル&ザ・ドレルズ“Tighten up”系のファンキーなダンス曲“PAPA'S GROOVE”で幕を開ける彼ら初のCD作品だ。ミニ・アルバムながら多様なアイデアが満載。カリプソ風味の終曲“RELAXIN'”も心地良い余韻を残す。 *大石

 

YOUR SONG IS GOOD YOUR SONG IS GOOD KAKUBARHYTHM(2004)

汗が迸るライヴ・パフォーマンスの噂も広がるなかでリリースされたファースト・フル・アルバム。各種カリブ音楽やその他のダンス・ミュージックの要素をギッチギチに詰め込みながら、全14曲をハイテンションで走り抜ける。初の歌モノ“WALKIN' WALKIN'”などライヴの定番曲も収録。 *大石

 

SAKEROCK LIFE CYCLE KAKUBARHYTHM(2005)

星野源らが在籍したエキゾなインスト・バンドの初フル・アルバム。洒脱な筆致の楽曲を、トロンボーンやマリンバが踊る軽妙なグルーヴを宿したアンサンブルで展開しつつ、ユル過ぎるスキャットなどのユーモラスな要素を照れ隠しのようにまぶしたり。初期SAKEROCKの無二のバランス感を確立させた名作だ。 *澤田

 

MU-STARS CHECK 1,2 KAKUBARHYTHM(2005)

KAKUBARHYTHMのヒップホップ・サイドを代表する2人組ユニットのファースト・フル・アルバム。YSIGやこの後レーベルメイトとなるイルリメの他、BREAKfASTの森本雑感などジャンルを越えたゲスト陣が参加している。ポップかつカラフルなブレイクビーツ・アルバムだ。 *大石

 

YOUR SONG IS GOOD FEVER KAKUBARHYTHM/ユニバーサル(2006)

BEAT CRUSADERSとのコラボ盤を挿み、ユニバーサルとのダブルネームでメジャーへ。7インチのみのリリースだった“SUPER SOUL MEETIN'”のリテイク版“超ソウルミーティン”も含む本作は、ビークルとのステージや大型フェス出演を経て、さらに高まったライヴ巧者ぶりが刻まれた一枚に。 *土田

 

SAKEROCK songs of instrumental KAKUBARHYTHM(2006)

永積タカシの歌唱による“インストバンドの唄”や星野源が歌うハナ肇とクレージーキャッツ“スーダラ節”、ゲーム「MOTHER」の名曲カヴァーなどを動員し、バンドの枠組みを華やかに拡張した2作目。カテゴライズし難いがどこまでも人懐っこいバンドの在り様を、タイトルに集約されるアプローチでキャッチーに提示した。 *澤田

 

YOUR SONG IS GOOD HOT! HOT! HOT! HOT! HOT! HOT! KAKUBARHYTHM/ユニバーサル(2007)

イルリメやMU-STARSといったレーベル周辺アクトに加え、SOILやSLY MONGOOSEの面々、松田“チャーベ”岳二ら多くのゲストと共に、デビュー以来一貫して磨いてきたルーツィーな南国ダンス音楽路線のひとつの集大成を築いた一枚。歌モノの初シングル“あいつによろしく”もここに収録。 *土田

 

イルリメ イルリメ・ア・ゴーゴー KAKUBARHYTHM(2007)

レフトフィールドなラッパー/トラックメイカーと認知されていたイルリメが、エンテーテイナーとしての才覚を炸裂させたKAKUBA-RHYTHM移籍作。YSIGや二階堂和美らも招き、ロックンロールやスウィング歌謡といったスタイルのフロア沸騰チューンばかりを一気呵成に畳み掛けている。 *澤田

 

キセル magic hour KAKUBARHYTHM(2008)

辻村豪文&友晴の兄弟デュオは本作よりKAKUBARHYTHMへ参画。靄のようなサイケ感とノスタルジックな歌声がゆったりと溶け合う彼らの美点は、〈昼夜の狭間の時間帯を音楽で表現する〉というテーマにピッタリだ。民話/民謡のテイストを盛り込んだ“枯れ木に花”といった新たな試みも。 *土田

 

YOUR SONG IS GOOD THE ACTION KAKUBARHYTHM/ユニバーサル(2008)

我流のスカコア“A MAN FROM THE NEW TOWN”がいきなり飛び出す先行EP『THE ReACTION E.P.』で見せた兆しそのままに、結成10周年のアニヴァーサリー・イヤーに向かった先はパンク・ロック。出自の再燃とも言えようが、持ち前の常夏サウンドに縦のグルーヴが加わって、テンションの高さはもう最高潮に! *土田

 

SAKEROCK ホニャララ KAKUBARHYTHM(2008)

バンドにとっては初の完全インスト作品となった3作目。持ち前のユーモアもたっぷり詰め込んだストレンジでファニーな音楽世界が展開されているが、ポップさは決して失われていない。グラビアなども掲載したブックレットがまた遊び心満載で、スタッフも含めワイワイ制作している光景が目に浮かぶ。 *大石

 

イルリメ メイド イン ジャパニーズ KAKUBARHYTHM(2009)

前作の賑やかな勢いはそのままに、よりポップス志向を強めた一枚。シリコン・ティーンズばりの打ち込みオールディーズ“ミュージック”をはじめとするご機嫌な歌モノの数々にワクワクさせられる一方で、終盤に並ぶ“さよならに飛び乗れ”のようなセンティメンタルな楽曲の詩情に胸を締め付けられる。 *澤田