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R&B界のドンとしての威厳を放つ近年のアイズレーズ

 現時点でのアイズレー・ブラザーズ名義のオリジナル作は、R・ケリーとの蜜月が続いていた2006年の『Baby Makin' Music』が最新のものとなる。新作が長らく途絶えた理由としては、ロナルドが脱税により約3年の服役を余儀なくされたことも大きいが、しかしロナルドは出所した2010年にT.I.やアレサ・フランクリンを招いた初のソロ名義作『Mr. I』を出し、同年の〈ソウル・トレイン・アワード〉でレジェンド賞を獲得。2013年発表の『This Song Is For You』ではケムやトレイ・ソングズとも絡みながら、十八番のファルセットで凄みも湛えつつ第一線にいることを伝えていた。またロナルドは、ケンドリック・ラマーの『To Pimp A Butterfly』(2015年)で、アイズレーズの“That Lady”を使った“I”の音源使用を許可し、“How Much A Dollar Cost”では曲の終盤で一瞬ながら、彼でしかない歌声でR&Bのドンとしての威厳を放っていた。 *林 剛