半世紀前の音源ですら簡単にアクセスできる現代。その膨大なアーカイヴは皆に開かれているが、楽曲に対する思い入れはクリックひとつで「いいね!」とはならない。音楽の滋味を体に沁み込ませるには相応の時間が必要だ。フリート・フォクシーズ6年ぶりの新作に端を発したという本ディスクガイドは、主にゼロ年代以降の“フォーキー”なミュージシャン達の音盤レヴューやインタヴューを白眉としつつ、彼らのルーツとなったであろう60~70年代の名盤も紹介。さらに50余年の歴史を持つノンサッチ・レコーズの歩みに想いを馳せる。時を超えた水脈を丁寧に辿り直す事で、いま見ている景色もきっと違って見えてくるはず。