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ムラ・マサ『Mura Masa』 エイサップ・ロッキー、デーモン・アルバーンらを従えた噂のファースト・アルバム、その斬れ味は?

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  • 2017.08.25
ムラ・マサ『Mura Masa』 エイサップ・ロッキー、デーモン・アルバーンらを従えた噂のファースト・アルバム、その斬れ味は?

Bring The Kross Ova'
噂のムラ・マサがついにメジャー・ファースト・アルバムをリリース! いまや各界の大物から引っ張りだこで、すでに〈フジロック〉出演も経験している若き俊英。豪華なゲストたちをフィーチャーしまくった名刀『Mura Masa』の斬れ味はいかが?

 日本から見れば、名前だけで思わず親しみを抱いてしまいそうなムラ・マサ。UKはジャージー島出身のプロデューサー、96年生まれのアレックス・クロッサンによるソロ・プロジェクトだが、そのアーティスト・ネームは実際に名刀〈村正〉から取ったもののようで、ティーン時代のミックステープ『Soundtrack To A Death』(2014年)ではジャケに〈むら まさ〉と書かれてもいた。そんな10代の頃にSoundCloud経由でトラックを発表して注目された彼は、母が米国人ということからUS産のインディー・ポップを聴いて育ってきたそうで、エレクトロニック・ミュージックに傾倒するようになったのは15歳の頃だという。すぐメジャーに発見された彼は、2015年にネイオをフィーチャーした“Firefly”(翌年アリアナ・グランデのサンプル・ソースになった)やインディー時代から馴染みのボンザイとの“What If I Go?”をコンスタントに発表。昨年にはエイサップ・ロッキーを迎えたカリプソ風味の“Love$ick”が大ヒット。それに前後して〈フジロック〉での初来日を果たし、日本にもその存在を強く印象づけたのは言うまでもない。

MURA MASA Mura Masa Anchor Point/Polydor(2017)

 今年に入ってからはストームジー“First Things First”の共同プロデュースも手掛ける一方、チャーリーXCXとの“1 Night”、パンダ野郎ことデザイナーとのアーバン・トラップ“All Around The World”(リル・ジョンをネタ使い)など自身のトラックも続けざまに投入。そうして駆け足で今回のファースト・アルバム『Mura Masa』に至ったのである。

 アルバムは先述のシングルを網羅したプレイリスト的なノリもあるものだが、またまたボンザイと組んだエキゾなラガ・ハウス“Nuggets”やジェイミー・リデルとのポスト・ネプチューンズ系ファンク“Nothing Else!”、トム・トリップとのニューウェイヴィーなシンセ・ポップ“Helpline”など既存の手札になかったスタイルもキャッチーに楽しめる。ミニマルで隙間の多いビート運びは極めてクールなものだが、クリスティーヌ・アンド・ザ・クイーンズを招いてアーメン・ブレイクも効かせた“Second 2 None”やいくつかの先行シングルが好例となるように、ほんわりした楽天的なアイランド・ムードがいい隠し味となってムラ・マサ独自の心地良さを生み出している。シメの“Blu”はデーモン・アルバーンを招いてムラ・マサ自身も声を重ねたフューチャー・ベース歌謡。現行トレンドの中枢を担うようでいて、世代的な器用さを武器にどんどん変わっていきそうな逸材をここから見守っていきたい。