リマリックはアイルランドの西海岸にある街、本書の筆者にとってブラッド・メルドーとの“出会いの地”。'98年にそこでのライヴを目撃したことがきっかけでどんどんメルドーにのめり込んでいき、その奏法を分析的に追いつつ、トリオやソロ・ピアノで見せるアプローチ、クラシック・アーティストとの共演等、多角的な方向からブラッド・メルドーというピアニストを紐解く一冊。その一方でティグラン・ハマシアン、ロバート・グラスパーといったジャズの新時代を形成するピアニストたちを論ずることでジャズの“今”を考察。ジャンルレスでチョイスされた268枚のディスクガイドも読み応えあり。