LM.C
Plastic Treeとはレーベルメイトであるヴォーカル&ギターのユニット。LM.Cとしては昨年で結成10周年を迎えたが、Aijiの別バンドであるPIERROT(2006年に一旦解散後、2014年に復活。今年はDIR EN GREYとのツーマン・ライヴを横浜アリーナで開催した)のほうはメジャー・デビューのタイミングがプラと1年違いと、メンバー間では同期のような存在と思しき彼ら。初期の人気曲“ツメタイヒカリ”のカヴァーは、見世物小屋を想起させるSEが置かれたファンタジックなイントロに始まり、ストリングス風の流麗なシンセを要所に配したりと、全体的にやや光量を増した仕上がりに。

 

MUCC
こちらは〈結成〉から20周年を迎え、日本武道館の2デイズ公演やセルフ・カヴァー集のリリースなど、記念企画を続々と進行中の4人組。互いのトリビュート盤に参加し合う〈同志〉とも言える間柄の彼らは、Plastic Treeのオルタナ~グランジ趣味が全開で、かつ歌詞の救いのなさではプラ曲のなかでも上位に食い込みそうな“3月5日。”をチョイス。静と動の間を極端に振り切りながら、徐々に捻れていくような感覚に取り込むダークな世界観は踏襲しつつ、悲痛なスクリームと轟音に覆われるラストをはじめ、MUCC印も随所にくっきりと刻んでいる。

 

People In The Box
Plastic Treeがインディー期とメジャー移籍後に別テイクを発表している“エンジェルダスト”に対し、〈持ち曲?〉と聴き紛うほどの大改造を施したのは、今年でデビュー10周年を数える3人組。有村のソロ作では波多野裕文がトラックメイクを一任されるなど、相互の音楽性に対等なリスペクトが見い出せる彼らは、歪んだ音像で不敵に暴れる原曲を、自身の箱庭ポップへと見事に誘致。クリアな音色の多様なリフが絡み合うギターと、吟遊詩人然とした波多野の歌声、近年のPITB作品には欠かせない井上うにのミックスによって、残酷な白昼夢を立ち上げている。

 

緒方恵美
メンバー4人、揃って観に行った唯一の映画が〈エヴァンゲリヲン新劇場版〉シリーズだというPlastic Treeが招聘したのは、同作の主役である碇シンジ……ならぬ、そのCVを務めるヴェテラン声優/女優/シンガー・ソングライター。自身も声優デビュー25周年企画を展開するなか登板した本作では、V系マナーにも通じる中性的な歌い口でTVアニメ「遊☆戯☆王5D's」のエンディングを飾った“みらいいろ”にトライ。怒涛のプレイが堪能できるアウトロまで、ハード・ロッキンな重量感で走る編曲を担ったのはQ-MHzの一員でもあるプロデューサーの黒須克彦だ。

 

相川七瀬
90年代半ばに織田哲郎のプロデュースでデビューし、メインストリームを席巻。TETSUYA(LArc-en-Ciel)やJ、Akiらを招いた最新作『NOW OR NEVER』でも変わらぬロック信奉者ぶりを見せ付けた女性シンガーは、同じ事務所に所属していることが縁でPlastic Treeと交流があるという。そんな彼女がピックしたのは、PS Vista用のゲーム「Collar×Malice」とのコラボで制作された“サイレントノイズ”。ソリッドな骨組みはそのままに、プログラミングを交えて華やかさを増したバンド・サウンドと共に、あのパンチの効いた歌唱を披露している。