トランペッターとしてもコンポーザーとしても、現代ジャズ・シーンの先頭を走り続けるクリスチャン・スコット。伝統へのリスペクトと自身のルーツを取り入れながらも、ミニマル・ミュージックなどの先鋭性も併せ持つ、抒情的でダークな音像は、2015年リリースの『Stretch Music』から続く唯一無二のスタイルだが、本作ではよりヒップホップ的なアプローチが強い印象。機械的なビートが繰り返される中にクールなトランペットが、より一層輝きを増した演奏で抜群の存在感を放っている。グラスパーとはまた違う角度から、ジャズとヒップホップの融合の新たな可能性を提示した作品。