MINTとしての活動終了を宣言してから1年半、名義を改めて帰ってきた奇才が『ミンちゃん』(2012年)以来となるアルバムを完成させた。今回は“Fruity Dog”(2013年)でも組んだsoakubeatsが全曲を制作。2014年初頭~2016年末に作ったという楽曲が実際の制作順に並んだ作りは心の移ろいを窺わせるもので、いつも以上にネガティヴな言葉が耳に刺さる。ただ、毒特の語彙を張り巡らせたラップが巧すぎるせいで、諦観や自殺願望すらもエグいユーモアに昇華してくるのがミンちゃんの真骨頂だろう。昔からサウスの音を余裕で消化してきた嗅覚と対応力の持ち主だけに、ドラッギーな粗悪マナーとの相性も抜群。Cherry BrownやJinmenusagiらの客演もあり、絶妙な暗さがクセになる傑作だ。