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アメリカ国内便の乗り継ぎが複雑だったこともあり、オースティンの家を出てから
ロンドンの自宅に着くまで計31時間を要しました……。

もう身体も心も崩壊寸前のところを何とか意志の糸で繋ぎ合わせながら半日休み、間髪入れずに新作『III』のリリースにあたってのUKツアーがスタート!

今回は10か所でのライヴ、そしていつもお世話になってるBBC Radioマーク・ライリー氏の番組でのセッションと計11回の演奏。

新作のリリースという出来事だけではなく、今回は友人のバンド、ヤングハズバンドがツアーをいっしょに回ってくれるので、それもとても楽しみでした。
人間的にも音楽的にも好きなバンドというのはなかなか見つけづらいと思うんです。

ヤングハズバンド

 

【参考動画】ヤングハズバンドの2013年のシングル“Silver Sisters”

 

そしてドライヴァーは以前にも依頼したことのあるレイジング・スピードホーンのドラマー=ゴードン
彼らは再結成を果たし、なんとわれわれ、そしてBABYMETALも出演する〈ソニスフィア・フェスティヴァル〉に出演するとか! 楽しみすぎます。

そう、このツアーは完璧な布陣なんです。

うっかり席を離れたら、レイジング・スピードニンゲンに。ゴードン……叩きたかったんだね

 

まずはここから始まります。

【5月7日 @ロンドン・Heaven】

自身の演奏で自身を回復させてゆくような、ヘヴン Photo by Taira Kurihara

 

もう時差ボケとか言ってる場合ではないと身体が判断したらしく、
演奏前には身体の準備が出来ていきます。
でもちょっと、辛い……。

そしてこの日、物販のCD(しかも新作)をそのままライヴハウスに忘れてくるという痛恨のミス……! もはやリリース・ツアーの意味とは……。
数日後送り届けてもらいましたが。
疲れていたんでしょう……。

 

【5月8日 @ブリストル・Thekla】

左端に彼はいます Photo by Taira Kurihara

 

ジェフという男がこの地にはいます。

合う・合わないということが、音楽を聴くうえでは起こり得ると思います。
しかし彼の場合、葉や花が風で揺れるように、自然にわれわれの轟音に身体を委ねてくれます。
ゆさゆさと大きな頭を振りながら、常にフェスに行き続けていることを意味するリストバンドの数の多さが、彼の音楽に対する姿勢を示している。

今日も来てくれていて、良かった。

そして
5月9日にバーミンガム、5月10日にリーズと何とか乗り切り、待ちに待った〈デイ・オフ!〉

11日はマンチェスターでゆっくり静養しようということで、ほとんどゴロゴロして過ごしていたのですが、この頃からTaigenに異変が……。

前々から麻婆豆腐が好きだということは知っていましたが(自分もですが)、
この日の渇望っぷりたるや、目を見張るものがありました。
彼はこの日の食事2回共に麻婆豆腐を選び、
あまつさえ〈時間に余裕があれば明日の昼も麻婆いけるなー、へへへ〉などと!

以下は主に彼と麻婆豆腐の蜜月スナップなり。
もはや〈3rd Album Release Tour ~麻婆豆腐と共に~〉というサブタイトルが付いても何ら不思議がないほどの入れ込みよう。

(左上から)ロンドンの麻婆、マンチェスターの水煮肉片、マンチェスターの麻婆、
店の名が〈MA BO〉(本来、MA PO)、麻婆狂いの人、マンチェスターの麻婆2

 

そして比較的影響されやすく元来料理好きな自分はやはり、作ってしまいました。

本気で。

めざすは陳建民氏のそれと、漫画「中華一番」伝説の麻婆のハイブリッド。
葉にんにくは入手できませんでしたが、花椒、紹興酒、豆豉、四川豆板醤、甜麺醤、自家製ラー油を使ってしっかり辛くて香る麻婆豆腐。

各種調味料と行程、そして完成品 

 

フラットメイトに試食してもらうの図

 

若干、話が逸れましたね。

 

【5月12日 @マンチェスター〈マーク・ライリー・セッション〉とDeaf Institute】

バタバタしながらもBBC Radioのあるメディア・シティーへ。
何回か出演しているので比較的スムーズに機材搬入、そして入館用のパスをもらったのですが……唖然。

うーん、おしい。ちなみにYukiも名字が北欧風に

 

でもややこしくしてるのは自分なんですよね、はは。

無事ラジオ出演も終えて、即ライヴ会場へ。
息吐く暇もないほどの忙しい1日でしたが、ライヴ自体もよく充実した一日でした。
同じようにツアー中の盟友、テレマンヒロ・アマミヤくんも遊びにきてくれたり。

【参考動画】テレマン“Not In Control”

 

 ホテルで寛ぐ面々

 

【5月13日 @グラスゴー・King Tuts】

このライヴハウスは、一度Yukiと“DaDaDa”のミュージック・ビデオの監督・Kenichi Iwasa兄さんとでやってるXaviersで、ワイアーをサポートした時に演奏した経験があります。
普段はだいたい雨で曇天模様なのですが、この日に限っては晴れていました。

なので

上機嫌のフロントマン×2

 

ひなたぼっこして微動だにしないヤングハズバンドのドラマー、ピート

 

5月14日のリバプールと5月15日のノッティンガムについては、前半部分で飛ばしすぎたため割愛させていただきます、悪しからず。

そして16日にふたたびデイ・オフ、しかも今回は自宅です!
泥のように眠りました。やっぱり自分のベッドは最高ですね。

最後の2本。

 

【5月17日 @サウザンプトン・The Joiners】

ここの人たちはいつもイギリスで観に来てくれるおじさんたちのそれをさらに上回るパワーを持っている印象です。
実際Yukiの前の厳ついおじさんがギターのエフェクターの真上で狂ったように頭を振っているので、しばらく音を切り替えられなかったと言ってました。
そんな熱くて良い場所です。

 

【5月18日 @ブライトン・The Haunt】

ここはブリティッシュ・シー・パワーのサポートの時や、1年前にも演ったことがあるので馴染みでもあります。
最後に相応しく多くの人が足を運んでくれましたし、良い締め括りになりました。
いつものことですが、すべて終わって打ち上げ的なことをできずにサポートのバンドとも別れてしまうので、最後に今度改めて呑もうと約束を交わし、ブライトンを後にしました。

そして数日の休憩後、これを書いているわけです。

夢から覚めて、心も身体も油断しきってしまうようで、数日は筋肉の回復や気持ちを通常のモードに戻すのに苦労しますが、この繰り返しもまた日常。
これが載る頃には終わっていますが、これからいよいよバルセロナの〈プリマヴェーラ・サウンド〉。
楽しみです。

最後に、先日完成し、公開されたばかりの“Slider”のミュージック・ビデオを。
ディレクターは気鋭のフォトグラファー、ニック・ナイトが率いるショウスタジオの若き才能、マリー・シュラー氏が手掛けてくれました。

新たなBO NINGENの世界を堪能してください。

それではまた。

 

PROFILE/BO NINGEN


Taigen Kawabe(ヴォーカル/ベース)、Kohhei Matsuda(ギター)、Yuki Tsujii(ギター)、Akihide Monna(ドラムス)から成る4人組。2006年、ロンドンのアートスクールに通っていたメンバーによって結成。2009年にアナログ/配信で発表した 『Koroshitai Kimochi EP』が現地で話題となり、UKツアーのみならず、日本盤の発表後は日本でのツアーも成功させる。2011年にミニ・アルバム『Henkan EP』、2枚目のフル・アルバム『Line The Wall』をリリース。昨年から今年にかけて、〈フジロック〉やオーストラリアの〈ビッグ・デイ・アウト〉、USの〈SXSW〉〈コーチェラ〉といった各国の大型フェスへ出演し、ますます注目を集めるなか、先日UKで待望のニュー・アルバム『III』(Stolen)をドロップ。そして6月25日には世界各国でのライヴ音源もプラスされた同作の日本盤が登場しますよ! 最新情報はこちらのサイトでチェック!

BO NINGEN III Stolen/ソニー(2014)