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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

(C)2017 MARVEL

 地球生まれの元お宝ハンター、美人暗殺者、遺伝子改造された武器のエキスパート(見た目はアライグマ)、樹木型ヒューマノイド、宇宙規模の荒くれ者から成るヒーロー・チーム〈ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー〉。彼らが成り行きで活躍する大ヒット映画の続編「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」は、前作に続き、登場人物の心と音楽を上手くシンクロさせた作品だ。例えば、サム・クック“Bring It On Home To Me”は主人公ピーター・クイルの故郷や母親を想う心情と重なるし、ルッキング・グラス“Brandy(You're A Fine Girl)”はクイルの家族関係を象徴する曲として登場する。そうした選曲の妙は強い影響力を持ち、本作での起用がキッカケで、スウィート“Fox On The Run”がリヴァイヴァル・ヒットするという現象も。さらに、母親が形見として残したミックステープの収録曲という設定のため、挿入歌は彼女の青春時代である70~80年代のものが多いのも特徴。それを活かす形で80年代のドラマ〈ナイトライダー〉シリーズでお馴染みのデヴィッド・ハッセルホフがカメオ出演し、サントラにも招かれているという制作陣の粋な遊び心もおもしろい。

ジェームズ・ガン ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(2017)

 そんな本作の魅力はズバリ、娯楽性の高い物語のなかで、〈家族とは?〉と観客に問い掛けるところ。父と息子や姉と妹などさまざまな家族関係を題材にしているが、必ずしも血の繋がりに縛られていないのが重要なポイントだ。父親を知らずに育ったクイルとエゴの関係で言えば、最初は突如実父として名乗り出たエゴに繋がりを見い出すクイルだが、エゴのある告白から、最終的には彼を倒そうとする。その過程でクイルは、確執のあった育ての親ヨンドゥの気持ちを知り、ガーディアンズの仲間こそ本当の家族だと理解する。

 また、そうしたテーマを強調するように、今作の根幹を成しているのはヨンドゥの生き様だ。物語終盤のクイルとヨンドゥ、二人きりのシーンは涙なしで観ることが難しい。さらには、身を呈したヨンドゥを想うクイルの背景でキャット・スティーヴンス“Father And Son”が流れるという何とも心憎い演出も。音楽と物語の強い結び付きの元で宇宙を守るガーディアンズは、血の繋がり以上に大切なのは心の繋がりということを教えてくれる。 *近藤