『Tapestry』から生まれた音楽の数々が、ここにひとつの巨大なタペストリーを生んだ

miwa guitarissimo ソニー(2011)

2歳でピアノを始め、物心つく前からキャロルに心酔していたというmiwa。相棒をギターに変えようともその憧れは冷めることなく、初めてアコギで弾き語った曲が“You've Got A Friend”なら、デビュー盤では窓際に猫と佇んでみたり……。本作収録の“Dear Days”など日常の些細な出来事をそっとすくい上げる作詞センスだって先輩譲りです。 *山西

 

THE CITY Now That Everything's Been Said Ode/Light In The Attic(1968)

ソロ・デビュー直前のキャロルが、ダニー・コーチマー&チャールズ・ラーキー(2番目の夫)と組んでいた3人組。当時レーベルのゴタゴタで市場からすぐ消えてしまったこの唯一作には、後にバーズやモンキーズもカヴァーする佳曲が満載。ダニーとチャールズは〈つづれおり〉にも参加しており、かの名盤の序章としても楽しめる。 *桑原

 

AMY WINEHOUSE Lioness: Hidden Treasures Island(2011)

母親がキャロル好きというエイミーは、キャロルがシュレルズに提供し、『Tapestry』でセルフ・リメイクした“Will You Love Me Tomorrow?”をカヴァー。制作はマーク・ロンソンで、オリジナル・ヴァージョンに通じるオーケストラを配した60年代風の雰囲気に、ロネッツやシャングリラスを気取っていたエイミーらしさを感じる。 *林

 

LOUISE GOFFIN Kid Blue Asylum/JDC(1979)

ジェリー・ゴフィンとの間に生まれた長女が10代の頃に発表した初作で、プロデュースはダニー・コーチマー。スティーヴ・ルカサーら売れっ子プレイヤーを配した豪奢なロック盤ながら、バラードには母の面影がくっきりと。『Tapestry: Live In Hyde Park』でも確認できる通り歌声もそっくり。 *桑原

 

寺尾紗穂 たよりないもののために Pヴァイン(2017)

鎮静作用の高いハートウォーミングな歌声が魅力の自作自演シンガー。四季折々の匂いを豊かに描き出していくようなピアノの弾き語り曲が詰まった本作でも、その特別なヴォーカル・パワーは健在だ。凛とした歌声の訴求力が〈つづれおり〉時代のキャロルっぽいんだよな~。 *桑原

 

ROBERTA FLACK & DONNY HATHAWAY Roberta Flack & Donny Hathaway Atlantic(1972)

『Tapestry』制作時にキャロルがダニー・ハサウェイの70年作『Everything Is Everything』を友人に配っていたのは有名な話。対してダニーは“You've Got A Friend”をライヴで歌い(72年の『Live』に収録)、スタジオ録音版としてロバータ・フラックとの親密なデュエットも披露。これらのカヴァーによってソウルの名曲にもなった。 *林

 

ARETHA FRANKLIN Lady Soul Atlantic(1967)

『Tapestry』収録の“(You Make Me Feel Like)A Natural Woman”は、もともと本作用にキャロルが書いた曲。マッスル・ショールズの精鋭をバックに歌ったものだが、2015年にもケネディ・センター名誉賞の授賞式で歌い、オバマ大統領(当時)や作者のキャロルを感涙させた。さらにアレサは72年の教会実況盤『Amazing Grace』で“You've Got A Friend”を披露。 *林

 

CAROLE BAYER SAGER ...Too Elektra(1978)

こちらのキャロルも元夫(バート・バカラック)とのコンビにより作曲家として名を馳せた後、表舞台へ……という経歴の持ち主。マイケル・ジャクソンも歌った“It's The Falling In Love”を含むこの2作目は、とりわけ『Tapestry』の歌世界に通じるピアノ・バラード“Shadows”が絶品だ。 *桑原

 

JAMES TAYLOR Mud Slide Slim And The Blue Horizon Warner Bros.(1971)

男ジェイムズ・テイラーに対しての女キャロル・キング。親友でもあった2人はライヴで共演するなど関わりが深い。JTの“Fire And Rain”にレスポンスする形で書かれたのが“You've Got A Friend”であり、JTは本作で同曲をカヴァーしてもいる。71年にカーネギー・ホールで行ったコンサートでは2人でこれをデュエット。 *林

 

ALICIA KEYS Songs In A Minor J(2001)

〈ピアノと私〉的な佇まいがキャロルと似ているだけでなく、生まれも同じマンハッタンというアリシア。このデビュー作に隠しトラックとして収録した“Lovin U”は、アレサ・フランクリン版“(You Make Me Feel Like)A Natural Woman”の換骨奪胎となるバラードで、キャロルへのトリビュートとも受け取れる名曲だ。 *林

 

MILEY CYRUS Younger Now RCA/ソニー(2017)

『Tapestry』収録曲をたびたび取り上げているカントリー歌手のビリー・レイ・サイラスを父に持ち、幼い頃はキャロルやJTが大好きだったという彼女。一時期はド派手な路線に振り切れたものの、この新作ではナチュラル・ウーマン化しているとのこと。親父も太鼓判を押しているだけに、これはキャロル・ファンも期待してよさそう! *山西

 

RUMER Seasons Of My Soul Atlantic(2010)

〈つづれおり〉を彷彿とさせる陽だまり感がたまらないデビュー作。聴き手の心の柔らかい部分に訴えかけてくる温かいヴォーカルと、70年代初頭のポップスからの影響が色濃いシンプル&ナチュラルなサウンドを披露していくここでの彼女に対し、多くのメディアがキャロルを引き合いに賛辞を贈った。 *桑原

 

MARCIA GRIFFITHS Play Me Sweet And Nice Trojan(1974)

ニュー・ソウルに触発されてマーヴィン・ゲイやダニー・ハサウェイのカヴァーが流行した70年代半ばのレゲエ・シーン。その延長で『Tapestry』ソングにもスポットが当たり、本作から“It's Too Late”のラヴァーズ解釈が大ヒット。本家に勝るとも劣らない揺らぎのある歌唱が切なく響きます。 *山西

 

『Tapestry』収録曲のカヴァーが聴ける作品を紹介。