DINARY DELTA FORCE
マルコ・ポーロと組んで作った究極の9曲……一音一句に込められたこの黒さはどうだ!

 2013年のセカンド・アルバム『THE 9』以降、ソロ作の発表などメンバー個別の動きを活発化していたDINARY DELTA FORCEが、実に4年ぶりのニュー・アルバム『EVERYONE D NOW』をドロップした。結成15周年を迎えて昨年末の先行12インチ『F.L.A.Me/LISTEN』からそのままアルバム全曲を手掛けたのは、ブルックリンを拠点に活動するマルコ・ポーロ。ロウカスやダック・ダウンに自作を残してきた彼は〈トゥルー・スクール〉を標榜しながら90年代NY作法のトラックメイクを現代に追求する名匠。神奈川県藤沢市=MOSS VILLAGEで無骨にブーンバップを貫くDINARYとの相性は言うまでもないが、実際の仕上がりは予想以上のものだ。

DINARY DELTA FORCE EVERYONE D NOW DLIP(2017)

 収録されているのは即完した12インチの2曲を含む全9曲。今回はRHYME&B、祀SP、calimshot、DUSTY HUSKYの全員が全曲でヴァースを担当している。緊迫した幕開けの“EVERYONE D”から、激シブなジャジー・ビーツにブルージーな語りが絡む“SOME TUESDAY”、プレミアなホーンが哀愁と路上感を掻き立てる“GAISHIYAS”、『2001』式のループにラガの合った“BRAVO”……と各曲のソウルフルなコクとラップのキレはいつも以上に絶好調。プロ・エラやKANDYTOWNら往年のブーンバップやサンプリング主体のマナーを更新した後進たちも増えている昨今、ブレなく自分たちの流儀をドリップしてきたDINARYのドス黒い楽曲がどう響くのか、初めましてのリスナーたちもまずはチェックしてみよう。