2013年のミックステープと2015年のEPでFKAツイッグスやSZAらと並び称されアンビエントに尖っていた才女が、ソランジュやダニー・ブラウン、ゴリラズとの共演を経て放つ初アルバム。再タッグとなるジャム・シティとアルカを中心に、アリエル・リヒトシェイドやボク・ボク、クウェスらが制作に関与し、数曲でケルシー・ルーがチェロを弾いた本作でも、アリーヤを彷彿とさせる先行曲“LMK”やデスティニーズ・チャイルド風の“Frontline”など2000年前後のR&Bをリマインドさせながら〈ジャズやビョークも聴いて育った〉という背景を滲ませる。サイバーな表題曲や往時のネプチューンズにも通じる“Truth Or Dare”のように、インダストリアルなビートに人間臭い声を絡め、ミニマルだが雄大という相反する要素の両立は破格のカッコよさ。ピノ・パラディーノが隠し味的にベースを弾いた無重力系バラード“Better”などを聴くと、オルタナティヴではなく、いまや彼女の音楽が現行R&Bの王道となったことを実感する。