和嶋慎治と鈴木研一の地元、青森は弘前市の〈ねぷた〉をモチーフにしたジャケも素晴らしいが、20枚目になるニュー・アルバムの中身もそのインパクトに負けていない。従来のヘヴィーさを継承しながらも贅肉は削ぎ落とされ、メジャー・コードを含めてポップな聴き心地を与える作風となった今作は、ハード・ロック/ヘヴィー・メタル好き以外のリスナーにもぜひ聴いてほしい内容だ。まるで〈地下室を出てみよう 世の中を見てみよう まっさらに〉という“虚無の声”の歌詞を自身に向けたような、間口の広い楽曲群が迫ってくる。“もののけフィーバー”では和嶋がハーモニカを吹き、“宇宙のシンフォニー”ではエレクトリック・シタールを導入。ほかにもテルミン、ウクレレなど3ピースに留まらない楽器も積極的に採り入れており、バイク音を用いた“地獄のヘビーライダー”や、レインボー風味の“太陽がいっぱい”、ナカジマノブが唯一歌った“悪夢の添乗員”と明るい曲調が多い。どのナンバーもライヴ映えしそうな一枚だ。