生前に遺した小説作品は僅か3冊という、非常に寡作な作家であるにもかかわらず、戦後アメリカ文学において重要な位置を占める女性作家のひとり、グレイス・ペイリー。これまで2冊の短編集が村上春樹氏の手により訳出されており、本書はその最後の一冊。前訳「人生のちょっとした煩い」からおよそ12年ぶりとあって、海外文学ファンおよび村上主義者にとっても待望の刊行となる。彼女のコロキアル(口語的)な文体は少々難解でもあり、ツイストのように切り込まれる独特なユーモアにはしばしば翻弄されてしまうが、そのカラフルなヴォイスはまさに唯一無二。17編の短編に加え、エッセイと貴重なインタヴューも収録。