ORANGE RANGE
15周年を超えても相変わらず何をやりはじめるかわからない5人のニューEP!

 MONGOL800、高橋幸宏、Kなど縁のある面々を迎えて制作されたコラボ・ベスト盤『縁盤』を発表し、さらには代表曲を網羅したセットリストも話題となった47都道府県ツアー、4作目『ORANGE RANGE』(2008年)の再現ライヴ・ツアーなど、昨年の結成15周年イヤーを駆け抜けたORANGE RANGE。特に47都道府県ツアーは、メンバーにとって極めて大きなターニング・ポイントとなったようだ。

 「15周年のタイミングで47都道府県を回れたこと自体がすごいことだなって。とにかく感謝ですね」(RYO、ヴォーカル)。

 「何年も前から準備していたので、実現できて良かったです。期間的には長いツアーだったんですけど、無我夢中でアッと言う間に終わった印象ですね」(YAMATO、ヴォーカル)。

 「バンドのキャラクターとして、どんなときも明るさを届けてきたという自覚があって。ステージから見えるお客さんも笑顔だったし、しっかりやってきて良かったなという実感がありましたね」(YOH、ベース)。

ORANGE RANGE UNITY SUPER((ECHO))-LABEL/スピードスター(2017)

 記念イヤーのなかで得た経験は、5曲入りの新EP『UNITY』にも反映。「〈UNITY〉(=団結)というタイトル、ちょっと熱いじゃないですか。普段だったら恥ずかしくて使わない言葉なんだけど、47都道府県ツアーを回っていろいろ感じるところもあったし、今ならいいのかなと」(NAOTO、ギター)という本作には、ORANGE RANGEというバンドの個性、そしてリスナーとの確かな絆が込められているのだ。

 また、音楽的な〈らしさ〉を端的に示しているのが1曲目の“アオイトリ”。エッジの立ったギター・フレーズから一気にトップ・スピードに達するバンド・サウンドから始まり、リズム・パターンを何度もシフトしながら開放的なサビへと突き進む予測不能の展開は、〈何をやりはじめるかわからない〉このバンドの在り方とも合致している。

 「映画(『ありえなさ過ぎる女~被告人よしえ~』)の主題歌として制作したんですけど、台本自体がものすごく奇抜で、ストーリーの展開が読めなくて。それをイメージしながら作っていたら、こういう曲になりました(笑)」(NAOTO)。

 「歌詞の言葉選びも映画のストーリーからヒントをもらっていて。制作自体はスムースだったんですけど、自分たちらしさもありつつ、また新しい部分を見せられたかなって思いますね」(HIROKI、ヴォーカル)。

 続く2曲目“チラチラリズム”の〈UNITY ver.〉は、“上海ハニー”“お願い! セニョリータ”など初期のORANGE RANGEの音楽性をアップデートしたようなアッパー・チューン。

 「サビでヴォーカル3人がユニゾンで歌うところは“上海ハニー”あたりを彷彿とさせるかも。歌詞には〈まだまだ貪欲にやっていきたい〉という思いを込めていて」(YAMATO)。

 「もうルーキーではないですけど、今のバンドの立ち位置を考えたら、まだまだ腰を据える時期じゃないなって。〈ここから攻めていこう〉という感じなんですよね」(HIROKI)。

 「ライヴでも盛り上がる曲になると思います。〈さあ行こうぜ!〉って(笑)」(RYO)。

 また、YOHが中心になって制作された“Carnation”も強く印象に残る。三線の響きを活かしたサウンドと〈頑張りやさんのあなたから 今日も元気をもらっています〉という歌詞がひとつになったこのバラードからは、ORANGE RANGEに関わってきた人々への思いがじんわりと伝わってくる。

 「47都道府県ツアーで感じたことが元になっているんですが、自分たちからの感謝ソングというわけではなくて。ライヴに来てくれる人たちにもそれぞれの人生があるし、東北に対する思い、あとは友達の結婚式のときに感じた、新郎新婦から両親に向けた気持ちとか。それらがいちばん濃く重なっているところを歌にしたいと思ったんですよね」(YOH)。

 11月からは来年2月まで行われる全国ホール・ツアー〈ORANGE RANGE LIVE TOUR 017-018 ~UNITY~〉がスタート。メンバー同士、バンドとオーディエンス、そして、過去の楽曲と現在のORANGE RANGEを音楽的に結び付けた新作『UNITY』と共に、このバンドは新しいフィールドへ向かって進んでいく。

 「〈新しい曲をやりたい〉と力みすぎてもダメだし、以前の曲に頼りすぎていても前に進めない。そのバランスはライヴごとに変わってくるので、メンバーと確認しながらツアーを回りたいですね」(YOH)。

 「例えば“Carnation”はYOHが去年のツアーのなかで感じたことが元になっているわけだし、全部繋がっているんですよね。新しいツアーがどうなるかはやってみないとわからないけど、みんなでライヴを作っていけば、自然と次の方向性も見えてくると思います」(HIROKI)。 *森 朋之

ORANGE RANGEの近作。