伝統と革新を両立させながら燃えるようなヴォーカルで歌い込むレディシの3年半ぶりとなる新作。今回もレックス・ライダウトが総監督を務め、トラップ寄りの先行曲“High”を手掛けたDJキャンパーらの続投組に加え、ミックステープで組んでいたバッタ・ン・ビズキットなどの気鋭が彼女の歌を多角的に引き出す。イヤンラ・ヴァンザントらのインスピレーショナルな言葉を挿みつつ、前半はDJカリル制作の“Shot Down”がレゲエ調だったりと薄くカリブ的なムードも匂わせながらアグレッシヴに展開。それらを経て、ステップキッズのジェフ・ギテルマンが制作した名曲の風格漂うバラッド“Here”以降、BJ・ザ・シカゴ・キッドとの“US 4Ever”、ジョン・レジェンドとの“Give You More”と続く後半は切なさで胸を締めつけられるような歌唱でレディシのレディシたる所以を見せる。壮麗なバラード“All The Way”は終盤のハイライト。カーク・フランクリン作のポジティヴな曲で教会との接点を伝えて閉幕するラストも彼女らしい。