『Listen Without Prejudice Vol.1』に繋がったセンスの源泉を紹介
ジョージが『Listen Without Prejudice Vol.1』で取り上げた“They Won't Go When I Go”はここに収録。前後して“I Believe”も披露するなど、やはりスティーヴィーから得たものは大きかった様子だ。〈Vol.2〉用に作られた“Too Funky”のトラックもどこか“I Wish”風だったりするのがおもしろい。
『Listen Without Prejudice Vol.1』収録の“Waiting For That Day”でのジョージは、小技を効かせるかのようにローリング・ストーンズの“You Can't Always Get What You Want”を引用している。自然なやり口ではあるものの、このアルバムのブリティッシュっぽさはそんなところからも漂ってくると思う。
『Listen Without Prejudice Vol.1』以降のジョージはクイーンら英国の大物との絡みが自然と多くなり、急接近したエルトンとはライヴ録音した“Don't Let The Sun Down On Me”のデュエットを大ヒットさせるまでに。彼やポール・マッカートニーと同一線上にあるメロディーメイカーの系譜に立ってみせた。
もともと“Freedom! '90”のカップリングだった“Fantasy”を、“Fantasy '98”として後にリメイクしてもいたジョージ。そこまでお気に入りなのに扱いが悪かったのは、プリンスの“Alphabet St.”に全体的に似過ぎだから? この両者は相互に似たようなことをやり合ってるのが興味深いところ。
『Listen Without Prejudice Vol.1』に収められた“Soul Free”が当時台頭してきたソウルIIソウルに影響を受けたものなのはジョージ自身も認めていた通り。そうでなくても、今回のDisc-3に収録された“Freedom! '90(Back To Reality Mix)”は彼らの“Back To Life”をマッシュアップ的にネタ使いしたリミックスだ。
そういやナイル・ロジャーズの新作って結局どうなったの?とか思いつつ……今回の豪華復刻にあたって用意されたのがナイルをフィーチャーした“Fantasy”の新ヴァージョン。“Wham Rap!”の誕生を促した“Rapper's Delite”がシックの“Good Times”を敷いたものだと思うと、先祖帰り的な疑似コラボとも言える?