INTERVIEW

mei ehara『Sway』 カクバリズムが送り出す久々の新人! キセル兄の助力と共にミニマルなバンド・アレンジで描く詩的な10の場面

  • Share on Tumblr
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2017.11.07
mei ehara『Sway』 カクバリズムが送り出す久々の新人! キセル兄の助力と共にミニマルなバンド・アレンジで描く詩的な10の場面

 cero以来となる新人の正式デビュー、二階堂和美以来となる女性ソロ・アーティスト、さらには辻村豪文(キセル)による初プロデュースというトピックと共に、今年15周年を迎えたKAKUBARHYTHMが送り出す注目のシンガー・ソングライター、mei ehara。このたびファースト・アルバム『Sway』をリリースする彼女は、これまでmay.e名義でBandcampを中心に数枚の宅録作品を発表。また、nakayaan(ミツメ)やYogee New Wavesの作品にコーラスで参加するほか、もともとは〈映画を作りたかった〉というモノ作り志向もあって、Taiko Super Kicksらのアーティスト写真の撮影やデザインを担当していたりもする。

 「今作の制作を開始した2年前は、バンド・サウンドの作品にしたいと思っていたので、全曲ぶんのデモを自力でバンド・サウンドにアレンジするところから始まりました。腑に落ちなくて行き詰まってしまった頃、担当の仲原君(KAKUBARHYTHMスタッフ)がキセルのプロデュースの話を提案してくれたんです。日本の音楽を多くは聴いていなかったんですが、キセルの音楽は学生の頃もよく聴いていて、〈ぜひ、お願いしたい〉と返事をしました。音楽作りにおいて自分以外の誰かが加わるということは、とても大きな変化でした」。

mei ehara Sway KAKUBARHYTHM(2017)

 これまでmay.e名義で発表していたのは、深いリヴァーブがかかったアシッド・フォーク/ドリーム・ポップ的な作風だったが、今回は、初めてみずからバンド・アレンジをした10曲のデモを豪文に渡し、ブラッシュアップしてもらう形で全国デビュー盤『Sway』が完成。演奏はキセルの2人が担当し(ドラムスも豪文が演奏)、さらには、コーラス/フルートでmmmも参加、作品に彩りを添えている。

 「〈これまでの節目となる作品を作りたい〉と思っていて。私の幼少期は引越しが多かったのですが、移動時の道路の記憶が一番印象に残っていました。本当はそこにいたくても、抗えず前に進まなければいけない、重苦しくて平坦なイメージ。常に何かの影響を受けながら日々は続いていくので、今回は、あらゆる方向から向かってくるものを受け止めたりかわしたりしながら、瞬間を大切に、来るその時に備えながら前進していこう、というコンセプトで作りました。自分の作ったデモはボヤッとしていたんですが、豪文さんのおかげで輪郭が見えて、感情的な起伏が生まれました」。

 キセルはもちろん、前述した近い世代のアーティストにも通じる音数を絞ったミニマルなアレンジを基調に、凛とした可憐な歌声と、詩的な日本語詞(彼女は文芸誌も主宰している)で綴られる10の場面。フォーク、ロック、サイケ、ボサノヴァなどを内包し、ジャパニーズ・ポップスの伝統に連なりつつも、鮮やかにそれを更新していく。

 「1曲目の“戻らない”と最後の“冴える”はアルバムのコンセプトを象徴する大切な曲で、特に“冴える”に関しては豪文さんと編曲のイメージを伝え合うのに時間がかかりました。でも、そういったやり取りも自分にとっては初めてのことなので、とても新鮮でいろいろと学びました。KAKU-BARHYTHMの皆さんやエンジニアの中村(督)さん、豪文さんや(辻村)友晴さんの人柄もあって、終始穏やかに楽しく制作することができたこと、感謝しています」。

 本作のリリースの前後には、キセルをサポートに迎えたライヴも決定。たくさんの出会いに感性を揺り動かされながら、彼女の本格的な音楽活動がここから始まっていく。

 「今までと違うことをやっているので、どんな反応があるだろうと思っていたんですが、“戻らない”のショート・ヴァージョンの公開後、聴いた人たちから〈良かった〉と言ってもらえて、少しずつ安心してきました。今の私にとって、何かの影響を受けることも変化することもすごく心地がいい。いろいろなことを培って、新しい曲を書き続けたいと思っています」。

 


mei ehara

91年、愛知県生まれのシンガー・ソングライター。学生時代に自主制作映画のBGMとして宅録を始める。その後は歌モノに移行し、2013年の『Mattiola』から2015年の『See you soon - Session for us』まで、may.eとして5枚の自主制作盤を発表。また、Yogee New Wavesやnakayaan(ミツメ)らの作品にもコーラスで参加している。音楽のほかにも、Taiko Super Kicksや1983、annie the clumsyらのアーティスト写真の撮影や、パッケージのイラスト/デザインを担当。さらに文芸誌「園」の主宰など、活動は多岐に渡る。このたび名義をmei eharaに改め、初の全国流通盤となるファースト・アルバム『Sway』(KAKUBARHYTHM)を11月8日にリリースする。

関連アーティスト