リチャード・トンプソンの軌跡、ブリティッシュ・フォークの歴史

 フェアポート・コンヴェンション~元妻リンダとのデュオ、そしてソロ、とただただ自己の創作意欲の赴くまま活動を続けてきた英国フォーク・ロックの至宝、リチャード・トンプソン。

RICHARD THOMPSON Acoustic Classics II P-VINE(2017)

 一人で演奏しているとは思わせないその超絶技巧はエレクトリック、アコースティックどちらでも絶品。そんなリチャードが現在自身のコンサートの多くを占めるアコースティックセットの観客のニーズに沿う形で物販用にと録音した2014年発表の『アコースティック・クラシックス』。シンプルなアコースティックな弾き語り作品のリリースをしてこなかったのが不思議なくらい、リチャードの素晴らしいギターの演奏は格別の響きを持っている。ごくごくインディペンデントにリリースするつもりだったものが、その素晴らしさ故、最終的には自信のチャートアクションで過去最高のものになったというのも頷ける。その大好評を受けてのシリーズ第二作。フェアポート時代の楽曲からリンダとのデュオで発表したもの、そしてソロ作品とその輝かしいキャリアからピックアップされた名曲たちの素晴らしいギターと独特の力強い歌唱での再演を堪能してほしい。好評が続けば第三弾の可能性もあるというから早くも期待してしまおう。

 この素晴らしい作品の他、リチャードの80年代のライヴ映像作品、また今年フェアポートが活動50周年の節目を迎えるにあたり、記念アルバムがロバート・プラントやペンタングルのメンバーなど豪華ゲストを迎えリリースされるほか、初期音源のボックスの発売と続く。そしてそれにあわせフェアポートとそのファミリーのディスコグラフィや過去の膨大なインタヴュー(サンディ・デニー夫妻来日時のものも!)をこれでもかと詰め込んだムックも届いた。嬉しすぎる大ヴォリュームの中でも大半をリチャードの項が占め、フェアポートの、そして英フォーク・ロックの歴史の中で彼がどれほどの功績を残してきたかを物語っている。