クロニクスやジャー9とシノギを削り、ジャマイカのラスタ回帰ブームを盛り上げる歌い手、ジェシー・ロイヤルから初の公式アルバムが到着しました。リリース元のイージー・スターと言えば、アンティバラスの面々もハコバンを務め、レディオヘッドらのカヴァーで名を馳せるNYの異端児集団。そんなレーベルとストレートに70sな音を志向してきた男が組むなんて!と驚きつつも、実際に聴いてみたらしっかりハマっているのだから、こういう裏切りは大歓迎です。ナズとダミアン・マーリーのタッグ盤を手掛けたラマー・ブラウンがイイ仕事をしていて、エッジーすぎず重すぎないダブワイズやロック風のダイナミズムをもたらすギター・ソロにより、オケ自体はとてもモダンな印象。そんなリディムと合わさることで、主役の〈ルーツ・レゲエ的〉としか言いようのないマイナー調の歌メロとハスキーな声がスムースに耳まで届くのです。クロスオーヴァー・ヒットも十二分に狙える今作を携え、彼の世界進出が本格化しますよ!