『ブランク』というタイトルが付された渡邊琢磨の最新作は、本人によれば染谷将太監督の短編映画のためのサントラを映像から解放、自律したBGMとして仕立て直して制作したサントラだという。例えばジョナス・メカスのフローズン・フレームのようにフィルムの数コマを切り取ってスチール作品に仕上げる、そんな視線か。これをアンビエント・ミュージックだと本人は言うのだが、白いキャンバスを白く染めて出来上がるサム・フランシスのホワイト・ペインティングのノイズのレイヤーが作品を浮かび上がらせるが如く、サウンドを背景から浮かび上がらせようとする彼の意図は消えることなく、アンビエント・ノイズとして反響する。