INTERVIEW

YeYe『MOTTAINAI』 生活環境の変化を受けて創作したニュー・アルバムで、彼女がやりたかったこととは?

YeYe『MOTTAINAI』 生活環境の変化を受けて創作したニュー・アルバムで、彼女がやりたかったこととは?

自分の好きな音楽をやっていいんや!――環境の変化に伴う心の余裕から生まれた4枚目の新作は、かつてない昂揚と彩りに満ちている!

 オリジナル作品のみならず、CM、映画音楽など幅広く活躍するシンガー・ソングライター、YeYe。近作では、田中成道(キーボード)や浜田淳(ベース)、妹尾立樹(ドラムス)というサポート・メンバーを得てバンド・サウンドへと進化するなかで、オーストラリアのメルボルンに移住するという人生の新たな展開を迎えて発表された新作が『MOTTAINAI』だ。アルバム制作の経緯を彼女はこんなふうに振り返る。

YeYe MOTTAINAI RALLYE(2017)

 「レーベルの社長やバンド・メンバーから〈YeYeにこんな曲を作ってほしい〉というアイデアを貰って、それを元に作りはじめたんですけど、なかなかうまくいかなくて。そんななか、旅先のリトアニアでホセ・ゴンザレスのライヴを観て衝撃を受けたんです。こんな渋すぎる曲を、こんな大きな会場でやってる。しかも、超満員で一体感もすごい。それを観て〈自分の好きな音楽をやっていいんや!〉と思ったんですよ。さらに、メルボルンに引っ越して新鮮な気分になったことも相まって、一気に曲が出来ました」。

 そして、メルボルンからバンド・メンバーにデモを送って何度もやりとりをして、レコーディングは日本で行われた。レコーディング前にプリプロダクションの時間が取れないというピンチがあったものの、当初プロデュースを依頼する予定だった片寄明人(GREAT3)からメールで貰ったアドヴァイスが大きな助けになったとか。結果、最初にめざしていた方向とは違ったものの、「自然な形で力が抜けたものになった」という今作は、どの曲もキャラクターが立っていてアイデア豊富。まるでYeYeというパレットに並べられた絵の具のように色彩豊かだ。

 「ファーストでは右も左もわからないままセルフ・プロデュース。セカンド、サードとどんどんメンバーにアレンジを任せるようになっていたんですけど、今回はメンバーと一緒に作業する時間がなかったこともあって、自分を信じてアレンジに再挑戦しました。同時にバンドの演奏は大尊敬しているので、アレンジと演奏がうまく中和されて最高の仕上がりになったと思います」。

 その良い例が“Peddle”だ。ハンドクラップをサンプリングして作ったビートに、バンドの演奏やホーンが加わって次第にサウンドが膨らんでいく。ユニークなアレンジとバンド・サウンドが見事に融け合ったナンバーだ。

 「この曲がアルバムで最初に出来た曲でした。最初にギターのフレーズを思い付いて、そこから鍵盤のフレーズ、クラップ、メロディー、リズム、構成が急激に頭の中に流れ込んできて、超能力を使ったみたいに出来たんです(笑)。こんなふうに脳内に浮かんだ全体像を音に流し込む作業って、いままでなら途中で挫折したり、うまく形にならなかったのに、こんなにごっそりまとめられたのは初めてでした」。

 そうした新曲に加え、高野寛とさまざまなアーティストのコラボした企画盤『高野寛と素晴らしきラリーの仲間たち WE ARE HERE』が初出の“TWIST”や、映画「恋とさよならとハワイ」の主題歌“ゆらゆら”など、他流試合から生まれた曲もアルバムの流れに自然に馴染んでいる。このようにカラフルでパワフルなサウンドに仕上がった本作だが、そこで気になるのは不思議なタイトルだ。その謂れを彼女はこんなふうに説明してくれた。

 「メルボルンにある自転車屋さんの名前なんです。自転車屋なのにこの名前、チャーミングだなって思ってて。オーストラリアで感じたんですけど、日本もオーストラリアも完璧じゃないけど、それぞれに良いところがある。何をするにも〈もったいない〉と感じるくらい余白を残していたほうが生きやすいんじゃないかと思うんですよね。このアルバムは、オーストラリアに移り住んで、そんな心の余裕を持てたことから生まれた作品なんです」。

 この『MOTTAINAI』のリリースと同時に、母親になることが発表されたYeYe。そうした昂揚感もアルバムに反映されているような気もする。いまのYeYeの絶好調ぶりを伝える本作、聴かないなんてモッタイナイ!

 


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ここではYeYeの近作と参加作を一部紹介します。セルフ・プロデュースで臨んだ2011年の初作『朝を開けだして、夜をとじるまで』が各方面で激賞された彼女は、RALLYEに籍を移した2013年のセカンド・アルバム『HUE CIRCLE』(RALLYE)でいっそう飛躍。並行して客演やCM音楽でも名を広め、2014年にはアナの『イメージと出来事』(SECOND ROYAL)で“かなしみのこちら側”にフィーチャー。レーベルメイトらとの『高野寛と素晴らしきラリーの仲間たち We are Here』参加を挿み、サード・アルバム『ひと』(RALLYE)を発表した2016年は、南波志帆の『ドラマチックe.p.』(sparkjoy)に“プールサイド”を提供しました。今年に入ってからは、ANATAKIKOUの『3.2.1.O』(Hike)に収録の“うたになあれ”でデュエットを披露しています。 *bounce編集部

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