INTERVIEW

RAMMELLS『Authentic』 急速に知名度を高めてきた4人組がメジャー・デビュー作で提示する〈本物の〉音

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  • 2017.12.12
RAMMELLS『Authentic』 急速に知名度を高めてきた4人組がメジャー・デビュー作で提示する〈本物の〉音

黒いフィーリングを持つアクトがしのぎを削る現在の日本のシーンにおいて、急速に知名度を高めてきた4人組! メジャー・デビュー作で提示する〈本物の〉音とは?

予定より早い道程

 結成は2015年8月。同年末に初ライヴを行い、翌2016年10月には7曲入りのミニ・アルバム『Natural High』をリリース。その評判が急速に広まるなか、このたびメジャー・デビュー・アルバム『Authentic』を発表……と、階段を2段飛ばしでステップアップを重ねてきたRAMMELLS。結成からわずか2年でのメジャー・デビューについて尋ねると、リーダーである真田徹(ギター)はこう答えた。

 「結成の段階から、その後1年間ぐらいのスケジュールは決めてたんですよ。このタイミングで全国流通盤を出して、このあたりでどこかの事務所と契約して……と。ま、予定よりはちょっと早く話がきた感じでしたけどね」(真田)。

RAMMELLS Authentic クラウン(2017)

 アルバム・タイトルである『Authentic』という単語を辞書で引くと、〈本物の、正真正銘の、真正の〉という言葉が並んでいるが、RAMMELLSはそんじょそこらのニューカマーとは違う。『Authentic』はまさに〈正真正銘の、本物の〉作品だ。

 メンバー4人のうち3人は昭和音楽大学の卒業生。真田はジャズ・コースを、黒田秋子(ヴォーカル)と村山努(ベース)はポピュラー音楽コースを専攻した。

 「高校時代はロック・バンド(OLD JOE)をやってたんですけど、父親が管楽器屋をやってたこともあって、小さい頃からジャズも聴いてたんですね。ジャズも演奏できたほうがいいだろうとは思ってたんですけど、独学じゃどうにもならなくて」(真田)。

 「私は小さい頃から『メリー・ポピンズ』みたいな映画音楽が好きで、いつか自分でもこういう歌を書いてみたいと思ってました。中学以降はJ-Popを聴いてて、大学に入ってからマリーナ・ショウやボビー・マクファーリンが好きになりました」(黒田)。

「高校生のときはメタルが好きで。ドリーム・シアターが一番好きだったんですけど、メンバーの半分以上が音大の出身で、音大に行ったらこういう曲を作れるようになるのかな?と思って進学しました」(村山)。

 まさにバックボーンは三者三様。それはのちにRAMMELLSのヴァラエティー豊かな音楽性へと結実していくことになる。なお、RAMMELLSの結成以前に真田が参加していたOLD JOEはファンク要素もあるガレージ・ロック・バンドだったが、そこでヴォーカルを務めていたのは現SuchmosのYONCE。2015年7月にこのOLD JOEが解散すると、真田はそのわずか1か月後に黒田と新バンドを結成する。たまたま手にしていた雑誌に掲載されていた伝説的なグラフィティ・ライター/アーティスト、ラメルジーの名をもじってRAMMELLSと名付けられた。

 「最初、僕はちょっとシューゲイザーっぽい女性ヴォーカルものをやりたかったんですよ」(真田)。

 「〈こういうことをやりたい〉という楽曲がたくさん入ったUSBを徹からもらったんです。そこに入ってたのがアソビ・セクスとかで」(黒田)。

 「そこに村山くんが入ってきたら、急にテクニカルな方向になってきた(笑)。でも、それがおもしろかったんです」(真田)。

 そして、4人目のメンバーとして加わった彦坂玄(ドラムス)は、当初のRAMMELLSについてこう話す。

 「最初は今以上にいろんなタイプの曲があったので、対応するのが大変でした。シューゲイザーもあれば、ブラック・ミュージック的なものもあったので」(彦坂)。

 

違和感をねじ込みたい

 2016年10月には先述のミニ・アルバム『Natural High』をリリース。ネオ・ソウル以降のブラック・ミュージックのフィーリングを色濃く感じさせながらも、真田のアグレッシヴなギターとテクニカルなリズム隊がRAMMELLSならではの個性を描き出す本作は、初作ながら各所で話題を集めた。

 だが、今回のメジャー・デビュー・アルバム『Authentic』に広がっているのは、その『Natural High』を大きく上回るスケール感とヴァラエティーを持つ音楽世界だ。今回収録された楽曲は、すべて前作の発表以降に作られた新曲。4人全員がソングライティングに関わることにより、曲調の幅も大きく広がった。

 「今までRAMMELLSの曲作りの王道パターンはアキさん(黒田)が弾き語りの歌を持ってきて、それをチリポン(村山)が打ち込みでデモにするという形だったんですけど、今回はみんなで曲を書くことになったんです。前のアルバム以降に25曲ぐらい作って、そのなかから選曲会議で選んでいきました」(彦坂)。

 ネオ・ソウル的な色彩を帯びた“image”や“playground”などの楽曲に加え、ポップ度を増した楽曲が揃っているのも本作の特徴。4つ打ちのグルーヴに貫かれた“slow dance”や、ある種J-Pop的とも言える突き抜けた感覚の“CHERRY”や“Authentic”は前作にはなかったタイプのナンバーだ。また、黒田の歌唱もR&B~ソウル・シンガー然としたものから、より力が抜けて柔軟なものに。そのぶん、彼女のルーツにあるものが自然と滲み出している。

 「“CHERRY”や“Authentic”では明るくてポップな曲を作ろうと思ってました。“slow dance”もまさにそういうものを狙ってて。ただ、ポップな曲調ではあるけど、歌詞は皮肉というか。他の曲でもそういう違和感みたいなものをねじ込みたいんですよ。ブラック・ミュージック的なリズム隊の上でそれっぽいギターも弾こうと思えば弾けるんですけど、そういうことはすでにいろんな人がやってるし、同じことをやるのに興味がなくて」(真田)。

 「一筋縄ではいかない感じというか」(黒田)。

 「そうそう。〈次の展開を読ませたくない〉という思いはありますね。特にチリポンは(笑)」(真田)。

 「難しい転調を入れてきたりするんですよ」(黒田)。

 ポップでありながら、どこかに「一筋縄ではいかない」要素が散りばめられた全10曲。“HERO”はMUTE BEATやシンプリー・レッドでも活動してきた日本最高峰のドラマー、屋敷豪太がプロデュースを手掛けているが、物怖じしない芯の強さはこの曲からもはっきり聴き取ることができる。

 今後の活動について尋ねると、彦坂は「どんどん新しいことをやって周りを驚かせながら、一歩一歩大きなステージに進んでいけたらいいなと思いますね」と話し、黒田も「そうですね。私もめっちゃ楽しみ」と答える。〈本物の、正真正銘の〉4人が向かう未来はどんなものなのだろうか。メジャー・デビュー作にして、早くも次回作が楽しみになる注目のニューカマーの登場だ。

 

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