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ニュー・オーダー最新ライヴ盤リリース記念! 小野島大、新谷洋子、照沼健太が選ぶ〈理想のセットリスト〉

ニュー・オーダー『NOMC15』

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  • 2017.12.05
ニュー・オーダー最新ライヴ盤リリース記念! 小野島大、新谷洋子、照沼健太が選ぶ〈理想のセットリスト〉

ポスト・パンク/ニューウェイヴを代表するバンドにして、マッドチェスター・ムーヴメントの先駆的な存在――現在も後続のアーティストに多大なる影響を与え続けているニュー・オーダー。カリスマ的なヴォーカリスト、イアン・カーティスが自殺したことで解散を余儀なくされたジョイ・ディヴィジョンを前身に、残されたメンバーを中心に結成され、81年にファクトリーより“Ceremony”でデビュー。以降、二度の解散を経ながらも再結成を繰り返し、2007年には古参メンバーのピーター・フックがバンドを離脱するも、2015年には10年ぶりのオリジナル・アルバム『Music Complete』を発表した。

同年の11月には、『Music Complete』を引っ提げて、英ブリクストン・アカデミーでパフォーマンス。イギリスのガーディアン紙が五つ星と共に〈誰も到達することのできないエレクトロ史上最高の名曲で光り輝き、ひとたび求められれば、その曲で聴くものすべてに最高な夜を届けた〉と最大級の賛辞を送った特別なステージを収録したのが、本作『NOMC15』だ。最新作からはもちろん、ジョイ・ディヴィジョン時代の名曲“Love Will Tear Us Apart”から“Blue Monday”“The Perfect Kiss”といった代表曲までを網羅した充実の19曲入り2枚組。ファンにとってはもちろん必聴の作品だが、ニュー・オーダーを知らないリスナーの入門編としても機能する一作といえるかもしれない。

今回Mikikiでは『NOMC15』リリースを記念して、小野島大、照沼健太、新谷洋子の音楽ライター3名に各々が考える〈理想のセットリスト〉の作成を依頼。リストを通してニュー・オーダー/ジョイ・ディヴィジョンへの想いを自由に綴ってもらった。 *Mikiki編集部

NEW ORDER NOMC15 Mute/Traffic(2017)

 

 小野島大の場合

1. Round & Round(89年『Technique』)
2. Fine Time(89年『Technique』
3. Confusion(83年シングル)
4. Vanishing Point(89年『Technique』
5. Everything's Gone Green(81年シングル)
6. Love Vigilantes(85年『Low-Life』
7. Dream Attack(89年『Technique』
8. All The Way(89年『Technique』
9. Dreams Never End(81年『Movement』)
10. Thieves Like Us(84年シングル)
11. Sunrise(85年『Low-Life』)
12. Procession(81年シングル)
13. World(93年『Republic』)
14. Here To Stay
(2002年』シングル)
15. State Of The Nation(86年シングル)
16. Regret(93年『Republic』)
17. True Faith(87年シングル)
18. The Perfect Kiss(85年『Low-Life』)
19. Bizzare Love Triangle(86年『Brotherhood』)
20. Temptation(82年シングル)

それもまた人生

こういうのは迷っているといつまでも決まらないので、サクッと。一応選曲の基準としてはピーター・フック在籍時の曲に限定することと、ただしジョイ・ディヴィジョンの曲は入れないこと、そして定番中の定番“Blue Monday”は避けること。なぜかといえば、前回来日した時にインタヴューしたら、〈Blue Mondayは過去にやりすぎたので、もうやりたくないけど、客が望むから仕方なくやってる〉ぐらいのニュアンスで話していたからだ。アーティストが飽きてるような曲を無理にやっても健康によくない。

ならいっそ有名ヒット曲をすべて避けて選曲しようかとも思ったが、客である僕自身がそれじゃ盛り上がれない。それでも中盤に渋い曲を揃えすぎた感はあるが、もちろん全曲シングル曲で1時間半踊りっぱなしでも楽しいはず。要はニュー・オーダーであれば何でも楽しい。ファンですから。

Round & Round”を演奏する89年のパフォーマンス映像
 

『NOMC15』の選曲は、もちろん『Music Complete』のプロモーション・ツアーの録音なのだから、同作の曲が多くなるのは当然。そしてキャリアが長くなればヒット曲や定番曲も増え、ファン・サービスのためにそれらの曲を入れていけば、セットリストの大半は埋まってしまう。残りが〈そんなに知られてないけどアーティストがやりたい曲〉ということになるが、そのバランスもいい。よく練られたセットリストということだ。

でも僕はやはりピーター・フック時代に愛着があるので、〈ピーター・フックが復帰した時はこういうセットリストでやってほしい〉という願いを込めてセットリストを組んだ(いや、もちろん現ラインナップでこれをやってくれても狂喜乱舞だ)。『Get Ready』(2001年)以降の曲が1曲しか入っていないのは、単なる好みの問題である。最近になってピーターとバンドの争いは(法律上の)決着がついたみたいだが、別に両者の関係が良くなったわけではなく、復帰の可能性は限りなくゼロに近いだろう。ファンとしては残念だし悲しいとしか言いようがないが、しかしそれもまた人生だ。

Temptationを演奏する81年のパフォーマンス映像

 

照沼健太の場合

1. Elegia(85年シングル)
2. In A Lonely Place(81年シングル)
3. Procession(81年『Movement』)
4. Your Silent Face(83年『Power, Corruption & Lies』)
5. Sunrise(85年『Low-Life』)
6. Let's Go(87年『Salvation!』OST)
7. Broken Promise86年『Brotherhood』)
8. Dreams Never End(81年『Movement』)
9. Cries And Whispers(81年シングル)
10. All Day Long86年『Brotherhood』)
11. Sooner Than You Think(85年『Low-Life』)
12. Leave Me Alone(83年『Power, Corruption & Lies』)
13. Lonesome Tonight(84年シングル)
14. Every Little Counts86年『Brotherhood』)
15. Run Wild(2001年『Get Ready』)

16. Blue Monday(83年シングル)
17. Regret(93年『Republic』)
18. Krafty ※Single Edit(2005年『Waiting For The Sirens' Call』)
19. Here To Stay
(2002年』シングル)
20. Ceremony(81年シングル)

〈中途半端〉な理想のセットリスト

ニュー・オーダー、それは言わずもがな〈イアン・カーティスの自殺〉という悲劇を背負ったバンドである。だが、実際にそこにあるのは、そんなヒロイックなストーリーを吹き飛ばすほど下手な歌、ほぼ進歩しない演奏、そしてロクでもない揉め事だ。ポスト・パンクや80年代のリヴァイヴァルを経た今でも〈これは……〉と思ってしまうアレンジも少なくはない。しかし、それでも彼らに惹かれるのは、ゴミの山に埋もれたダイヤモンドのような楽曲の良さはもちろん、エレクトロニック・ミュージックのオリジネイターの一つであるのにも関わらず、根本はとにかく人間臭いパンクだという点によるものではないだろうか。

さて、本企画のテーマは〈理想のセットリスト〉だ。そこで上記の20曲を挙げさせてもらうことにした。この曲目を見て、目を疑うか、笑うか、怒ってしまったあなたはニュー・オーダーの熱心なリスナーだろう。なぜなら、これはボックス・セット『Retro』(2002年)のディスク2〈Fan〉の曲順ほぼそのまんまだからだ。マンチェスター伝説のクラブ〈ハシエンダ〉でレジデントを務め、〈Mixmag〉〈i-D〉〈NME〉といった名だたるメディアでの執筆、そしてニュー・オーダーのツアーDJなども担当した、音楽ジャーナリストであるジョン・マクレディによって選曲された〈Fan〉は、とにかくセンチメンタルな楽曲が満載。ベスト盤『Substance』(87年)を補完するような、ニュー・オーダーの〈時代と寝なかったサイド〉ともいうべき、シンプルなアレンジで哀愁漂うメロディーを聴かせる楽曲たち。そこにアンコールとして人気楽曲を数曲追加した。

〈ハシエンダ〉で“All Day Long”を演奏する86年のライヴ映像
 

だって、今のニュー・オーダーからは、イアン・カーティスどころか〈あいつ〉までいなくなってしまったのだ。バンドとしてズタボロじゃないか。だが、それでも許せてしまうのがこのバンドの魅力でもある。どうせ不完全なバンドなら、これくらい不完全な、バンドもスタッフもオーディエンスも全員が〈エーン〉と泣いているようなライヴが観てみたい。でも、一応、あのヒット曲も聴いておきたい。そんな中途半端な思いでできた〈理想のセットリスト〉がこれだ。

この企画のきっかけである最新のライヴ盤『NOMC15』には正直それほどそそられない。キャリアを網羅した理想のセットリストとも言われているようだが、どうだろう。長すぎやしないだろうか? ……いや、でも大方、人生とはそういうものなのかもしれない。中途半端で、間延びして、黒歴史満載。だからこそチャーミングなのだろう。自分も老後には、この〈中途半端な理想のライヴ・アルバム〉を聴き直して、ちょっと笑ったりしてみたい。でも、まだそれには早すぎる。

“Regret”を演奏する2008年のライヴ映像

 

新谷洋子の場合

1. Elegia(85年『Low-Life』)
2. Restless(2015年『Music Complete』)
3. This Time Of Night
(85年『Low-Life』)
4. Singularity(2015年『Music Complete』)
5. Fine Time89年『Technique』
6. Temptation(82年シングル)
7. Sub-Culture ※Single Edit(85年『Low-Life』)
8. Thieves Like Us(84年シングル)
9. Sooner Than You Think(85年『Low-Life』)
10. Paradise86年『Brotherhood』)
11. Sunrise(85年『Low-Life』)
12. Tutti Frutti(2015年『Music Complete』)
13. People On The High Line(2015年『Music Complete』)
14. Face Up(85年『Low-Life』)
15. Ceremony(81年シングル)
16. Everything’s Gone Green(81年シングル)
17. Bizarre Love Triangle
86年『Brotherhood』)
●Encore
18. Love Vigilantes
(85年『Low-Life』)
19. Krafty(2005年『Waiting For The Sirens' Call』)
20. Regret(93年『Republic』)

果てしないメランコリー

どうせ妄想なら徹底的わがままに!ということで、ニュー・オーダー作品の中で最愛のアルバムであり、最愛の曲“Love Vigilantes”で始まる『Low-Life』を勝手に軸にして、同作の8曲の収録曲をシャッフルしつつ(“Sub-Culture”はシングル・ヴァージョンで)、キャリアを網羅する14曲を合間に配置した。オープニングはやっぱり、5年前の〈SUMMER SONIC 2012〉公演でも冒頭を飾った曲であり、1曲目に置くしかない“Elegia”。ずばり〈哀歌〉と題された名インストである。ニュー・オーダーのデフォルトは果てしないメランコリーなのだ。

その先は、まずは傑作である最新作『Music Complete』から見ていくのが得策だと思うのだが、『NOMC15』のセットでは、同作から5曲を披露している。ジョイ・ディヴィジョン時代を合わせて40年弱のキャリアがあるバンドとしてはお手本にするべき、今を重視する健全な姿勢だと言うべきだろう。うち4曲は2016年の来日公演でも網羅した鉄板のシングルであり、これはマイ・セットリストにもハズせないし、アルバムでも『NOMC15』でも隣合わせの、“Tutti Frutti”から“People On The High Line”への流れは、崩しようがないくらい完璧。しかも『NOMC15』では、彼女の地元ロンドンでの公演とあってアルバムでも歌ったラ・ルー=エリー・ジャクソンがじきじきに参加しており、間違いなくハイライトのひとつだ。

ラ・ルーがフィーチャリングした“Tutti Frutti”のパフォーマンス映像
 

よって“Elegia”から、そのうちの1曲“Restless”に切れ目なく繋いで、以後ひたすら聴きたい曲をセレクト。シングル・オンリーの初期の名曲群――“Ceremony”“Everything’s Gone Green”“Temptation”――は必須だし、これまた個人的フェイヴァリットである“Thieves Like Us”は、贅沢な箸休めとして挿入した。本編ラストは長年ほぼ“Temptation”で固定されているけど、ライヴでは一緒に歌いたいタイプの人間なもので、よりシンガロング度が高いように感じる“Bizarre Love Triangle”で一旦シメることにしよう。

そしてアンコールは“Love Vigilantes”でスタートし、『Low-Life』のA面とB面を逆にしてみた。残り3曲はひたすらアガるシングル曲を並べて、“The Perfect Kiss”のあの壮大なアウトロでフィナーレ――というのも悪くない気がする。ちなみにジョイ・ディヴィジョンの曲に関しては、どれもこよなく愛しているのだが、前述の〈サマーソニック〉でのアンコール然り、バーナードが歌うヴァージョンにどうも馴染めず……。ジョニー・マーが最近歌っているスミスの曲は楽しめるのに、なぜかカヴァーっぽく聴こえる。今作『NOMC15』で改めて“Love Will Tear Us Apart”と“Atmosphere”を耳にしてもその印象はあまり変わらなかったので、ニュー・オーダーの曲に限定することにした。それでまったく不満はないし、名曲は数限りなくあるのだから。

“Love Vigilantes”を演奏する2005年のライヴ映像

 

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