これこそ至高のヴィルトゥオーゾと現代有数の巨匠が正面切って激突した大型競演! ラフマニノフの冒頭和音連打から主部に突入していくスイッチの入り方というかスピード感はスムーズすぎるくらいの快感だ。強靭な打鍵と沈み込む強音の深さ、本能のように自ずと帯びる巨大なスケール感で空間に屹立するマツーエフの豪儀なピアニズムに圧倒される。併録のプロコフィエフの第2番は4楽章で書かれた野心的な難曲で、とにかくピアノの〈運動量〉が半端ない。マツーエフが満を持しただけに、機能性の極限に挑戦する容赦ない超絶技巧の要求にも十全な解答が示されていく。マツーエフとゲルギエフ、当代望み得る理想的な共演による強力盤!