元コクトー・ツインズのメンバーで、現在はジョン・グラントやマーキュリー・レヴも在籍するベラ・ユニオンの主宰者、サイモン・レイノルズが新ユニットを結成。パートナーは、かつてサイモンがプロデュースを手掛けたこともあるディフ・ジュズのリチャード・トーマスだ。2人の作った曲に多数のゲストの声が乗るという趣向で、シャロン・ヴァン・エッテン、カレン・ペリス(イノセンス・ミッション)、ティム・スミス(元ミッドレイク)らが参加。トリップ・ホップ的な気怠いグルーヴ、シューゲイザーのような耽美さ、クラシカルな重厚感……とさまざまな側面を持ちながら、このアルバムを貫くのは翳りを帯びた美しいメロディーと気品溢れるロマンティシズムだ。コクトー・ツインズやディフ・ジュズが所属した時代の4ADの美意識をいまに甦らせたようでもあり、4ADの遺伝子を受け継いだベラ・ユニオンの設立20周年をみずから祝福する花束のような一枚。