北野監督の「バトルロワイヤル・コーダ」を観る前にこの本を読んだということもあったのだろう。やたらバカという言葉が耳に残った。関西だとアホ、人を突き放し、諌めるこの言葉は、ビートたけしがこの最新刊で語る通り、実は人を引き寄せ、慈しむ言葉でもある。しかしこんなことが日本だけでなく世界のストリートでは常識だ、というのはもはや過去のことかもしれない。バカ本でバカ売れしたといえば、養老孟司著の「バカの壁」を思い出す。ビートたけしはこの壁を叩いたり撫でたりしながら、自身の芸を語る。後半、タモリやさんまなどの芸人に寸評を寄せているが、何かバカバカしさもほどほどにというコーダのようにも読めて、泣ける。