いよいよメジャーデビュー! 2人にしか表現できない〈ピアノの未来〉を体験あれ!!

 新しい時代の到来を告げるアルバムがリリースされた。ピアニスト・大井健と、作曲家・中村匡宏。彼らの音楽からは今、私たちが聴きたい、既成のジャンルではない〈ピアニズム〉が聴こえてくる。

 「〈鍵盤男子〉としての活動がはじまって、あっというまの6年でした。オペラユニット〈レジェンド〉の専属ピアニストとして大学の後輩である彼(中村)と出会い、〈ふたりのコンビを〉というファンの方たちのリクエストから、この活動が生まれたんです」(大井)「当時から漠然とした野心はありましたが、明確にメジャーデビューなどは考えていませんでした。お互い好きな音楽をつきつめることで、ここまでこれたと思っています」(中村)

 大井はソロとしてもアルバム2枚をリリースし、チャート1位に。中村はオーケストラやテレビなどへの楽曲提供で活躍するほか、音楽博士号も取得。クラシックの王道をしっかり学び、ひとつひとつ結果を出しながら、飛躍する張力を張ってきたふたりだ。〈これがピアノの未来だ!〉――多彩でありながら芯の通った、説得力あるアルバムの裏には、ふたりのたゆまぬ努力がある。

鍵盤男子 The future of piano Warner Classics(2017)

 「選曲にはしっかり時間をとりました。いま必要なのはなにか、どこを削ぎ落とすか。結果的にすべて、自分たちのやりたい曲で固めたから、芯のようなものができたんだと思います。僕らのルーツであるクラシックやUKロック。オリジナル曲にこめた日本の音色もそうですが、〈フューチャー〉でありながら、そこには懐かしさが存在しています」(中村)「じつは、僕はクラシック・マニア。家には7、8千枚のCDがあって語るのも好きですが、同じテンションで話せる同業者はなかなかいません。でも、彼は楽譜で分析までしてくれる」(大井)「作曲家である僕は、音楽をマテリアルで見ます。でも、大井さんのように音で見る人は、複雑な情報を自分のなかで簡素化できる。実際、彼が音にしたとき〈こうしたほうがいいんじゃない?〉と、曲の構成が大きく変わることもある。化学変化が楽しいんですよ」(中村)

 この化学変化が、独特の疾走感につながっているのかもしれない。ライヴでは、超絶技巧を駆使した高速連弾で観客を巻きこんでいく彼ら。ステージを降りても息がぴったりだ。

 「今、一番新しいクラシックはこういう形なんだ、と示したい。音楽が変わっていくきっかけになりたい」(中村)「作曲家、ピアニスト、つきつめてより強くなる。それぞれが研鑽と努力を重ねた上で、また次の〈フューチャー〉を生み出す、そんな存在でありたいです」(大井)

 


LIVE INFORMATION

鍵盤男子デビューコンサート
Anniversary Special Live The future of piano

来年1月から全国12か所で開催
www.kenbandanshi.com