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【BRIAN SHINSEKAIの壺】第2回 オフコース、trf、上田現から辿る日本人的な〈歌謡〉の源流

BRIAN SHINSEKAIが『Entrée』の背景を語る連載!

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  • 2017.12.28
【BRIAN SHINSEKAIの壺】第2回 オフコース、trf、上田現から辿る日本人的な〈歌謡〉の源流

 ディグった土で、ツボを作る! 〈BRIAN SHINSEKAIの壺〉第2回です。今回も、来年リリースされるファースト・アルバム『Entrée(アントレ)』へインスピレーションを与えた作品をご紹介したいと思います。本作は、80s~90sのシンセ・ポップやグラム・ロックなどに強く影響を受けながらも、あくまで歌モノ、誤解を恐れずに言うと日本人的な〈歌謡〉であることを第一に制作しました。小さい頃から特に好きだったのがニューミュージック、そこから派生したポップス群でした。Prophet5~YAMAHA DX7と移りゆくトレンドのサウンドを追い掛ける職人気質でありながら、歌詞や唄には熱さと儚さと人間臭さがあり、日常の隙間や時空の歪みに連れて行ってくれるんです。

 まず、“ルーシー・キャント・ダンス”に多大な影響を与えたのがオフコースの“Yes-No”、そしてtrf(現TRF)の“CRAZY GONNA CRAZY”です。オフコースは、世間のイメージとは違い、シンセ・ポップとAORの良いとこ取りをしたかなりアグレッシヴなバンドという印象で大好きなんです。この曲はディスコ・ビートとシンセ・リフが共鳴し、唯一無二のサウンドとなっていて、シティー・ポップの括りにも入るでしょう。しかし、歌詞は報われた恋や街で遊ぶ倦怠感を描いたものではなく、余韻を残しつつ恋の意味を探る繊細さに心がざわつきます。やはり、島国で雨多き日本の曲。スティーリー・ダンより湿っぽい。僕は、こっちのほうが共感できるんです。

 trfは、ニューウェイヴ~シンセ・ポップ、トランスなど、多様な洋楽をごちゃ混ぜにして〈日本のポップス〉というフィルターを通した感覚が、何とも僕のフィーリングとマッチします。そして、ダンスする楽曲なのに、ダンスが苦手な主人公をなぜか想起させます。それが歌詞を作るうえでヒントになりました。小田和正さんと小室哲哉さんはドミナントを避けず奇を衒わないコード進行を多用しながら、浮遊感のある唯一無二の突き刺さるメロディーを作られます。理論派なのに、最終的なアウトプットが感覚派な天才のこのお二方は、実は似ていると思います。そして、僕も頭で考えながら指先から音楽が流れ出てくるタイプです。

 もう一人、『Entrée』に影響を与えたアーティストで外せないのが上田現さんです。“コリアンドル”は、僕の音楽作りの観念を根底から変えました。日本人であることを隠さないどころか、これでもかとオリエンタリズムをさらけ出すことで〈ワールド・ミュージック〉に仕上げてしまう感性、また私小説的でありながらファンタジーで非日常、でも本質的に刺さる肉感的な歌詞。空中に浮かぶ言葉を拾い集めるような歌詞の書き方は、『Entrée』収録の半分以上の楽曲を書いている時に降りてきていました。特に、“トゥナイト”は曲調こそ僕のフィールドとかけ離れているかもしれませんが、現さんが生きてたら聴いてほしいと思って作った曲です。

 それでは、次回またお会いしましょう!

 


BRIAN SHINSEKAI
2枚のミニ・アルバムを残したブライアン新世界、バンドのBryan Associates Clubとしての活動を経て、2017年9月に現名義でのプロジェクトを始動。2018年1月24日にリリースされる初アルバム『Entrée』(ビクター)に先駆け、収録曲を徐々に公開中。12月27日より“トゥナイト”が配信開始!
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