前作『NEW SCHOOL』以来となる15年ぶり。決して短くないブランクだが、再結成バンドにありがちな懐かしさを一切感じさせないのは、堀江博久&松田岳二――2人それぞれの活躍ぶりによって不在を噛みしめるヒマがなったからだろう。それはこの新作を聴いてもしかり。〈永遠なるメロディー〉というタイトルが指すように、休止していたことなどなかったかのような、無くしたはずの時計が静かに針を動かし続けていたような、まさにNeil and Irizaというサウンドが鳴っている。それはタイトなドラム・ループとドリーミーなシンセ・フレーズの交差する、魔法めいたポップス。サンプリング世代の感覚で、文脈や歴史とは無関係に音楽の欠片を切り貼りしながら楽曲を組み立てていた彼らのサウンドは、そもそも時代性を超越していたことをあらためて思い知らされる。それゆえに今作は2017年において、浮世離れしているほどにオプティミスティックだ。そして、その楽観こそが、いかに現在の我々が〈未来への無垢な信頼〉を失い、渇望しているかをも浮き彫りにする。世界は変わってしまった。だが、変わらない音楽はときに、残された美徳を守る最後の砦にもなりえる。