INTERVIEW

清水翔太 『ENCORE』

〈思い〉を起点とすることで、本来の音楽的な嗜好がより露になった新作。アンコールで伝えたかったこととは──

清水翔太 『ENCORE』

これまででもっとも〈生身の清水翔太〉が伝わってくる作品である。

約2年ぶりとなるオリジナル・アルバム『ENCORE』。先行シングル“DREAM”“WOMAN DON'T CRY”を含む本作において、清水翔太は音楽的なジャンルやスタイルではなく、〈自分は何を感じているか、何を伝えたいのか〉ということを軸にして制作に挑んだという。

清水翔太 ENCORE ソニー(2014)

「『Naturally』(2012年)のあとに武道館ライヴがあって、カヴァー・アルバム(同年の『MELODY』)をリリースして。その時点で、僕がデビューのときにやりたいと思っていたことはだいたいできた気がしたし、この先に進むためには新しい目標を定めたほうがいいなと思ったんですよね。いままでは〈こういうジャンルの曲をやろう〉というイメージを持って曲を作ることが多かったんですけど、これからは〈自分の思いやメッセージが先にあって、そこに音楽がついてくる〉という形じゃないといけないなって。制作は大変でしたけどね。やってみないと、どんな曲が出来上がるのかわからなかったから」。

「去年の夏、釣りをやってるときに何回も夕立が降って。〈この感じを曲にしてみたいな〉と思ったんです」というミディアム・バラード“Shower”、「自分の友達に向けて歌ってるから、ある意味、いちばんパーソナルな曲かも」というキャロル・キング“You've Got A Friend”のカヴァー、〈本当は苦しいんだ 音楽はビジネスじゃない〉というリリックが心に残る“シンガーソングライターの唄”など、彼自身の経験と感情に裏打ちされた楽曲が並ぶ本作。その中心にあるのが、タイトル・チューンの“ENCORE”だ。

「去年、いちばん多く感じたことって何だろう?って考えてみたら、〈もう1回〉っていう気持ちだったんですよね。〈もう1回見たい〉〈もう1回食べたい〉〈もう1回会いたい〉っていう。人間はいろんなことを忘れてしまうけど、だからこそ〈もう1回〉という感情に繋がって、すべてが回っていくんじゃないかなって。そのことを歌にしたのが“ENCORE”なんです。こういうロック調のポップスは最近の清水翔太とはかなり離れてるかもしれないけど、自分でもすごくいい曲だなと思うし、まさにメッセージから生まれた曲だなって。この曲が出来たことで、アルバムに対する気持ちがさらに固まったところもあるんですよね」。

もうひとつ記しておきたいのは、今作はみずからの心情を起点とした制作にシフトしていながらも、従来と同じくR&Bテイストを軸にしたポップス集として成立しているということだ。ジャンルにこだわるのをやめた結果、本来の嗜好がさらに伸び伸びと表現されるようになった──今回の最大の収穫は、もしかしたらそこなのかもしれない。

「もちろんR&Bは大好きだし、J-Popのテイストも持っているから、それが自然に出てるのかもしれないですね。以前は〈歌が上手い〉とか〈ブラック・ミュージックっぽい〉って思われたいところもあったんですよ(笑)。でも、いまはそんなことまったく考えなくなったし、もっと高いレヴェルで音楽をやっていけたらなって」。

シックに洗練されたサウンドメイクを含め、大人が楽しめるポップス作品としても機能する『ENCORE』。本作によって清水翔太は、さらに新しいフェイズへと進むことになりそうだ。

「いまの段階では〈良いアルバムが出来たな〉という手応えがあるし、自分の感情を真ん中に置くというやり方も大事にしていきたいと思っています。あとはリスナーの反応ですよね。やっぱり僕のやっていることはエンターテイメントだと思うし、聴いてくれる人に気に入ってもらえないとやってる意味がないと思うので」。

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